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オリンピック開催を4年後に控え、東京では大規模な建設工事が各地で進む。労働力不足が懸念される中、日本建設業連合会は現場で働く女性技術者や職人の愛称を「けんせつ小町」と命名し、活躍を支援している。男性中心の世界で、彼女たちはどのような毎日を送っているのだろうか?
ドドドドッ。冷たい小雨の中に重機の音が響く。皇居を望む都心の大規模再開発地。鉄骨の上で、男性作業員に交じって小柄な女性2人の姿があった。
「小さい方が便利」「低い所でも頭がぶつからない」。笑顔を交わすのは、鹿島建設の女性技術者、岡崎美香さん(30)と宮田明子さん(28)だ。2年後の竣工を目指す35階建てビルを核とする「(仮称)新日比谷プロジェクト新築工事」で、ともに現場監督を務める。
旧ビルの解体工事から携わる宮田さんは、「完成が待ち遠しい。将来、子供を連れて見せに来たいな」と語る。岡崎さんは「来年には内装工事も始まります」と表情を引き締め、施工図面作成に取り組む。作業指示や点検など、責任者として緊張感のある日々が続く。
現在、40社約400人の作業員はほぼ全員が男性だ。工事が本格化すると倍以上に増える。作業員のまとめ役である職長会会長の宮川直行さん(47)は、長い鳶職人生で女性監督と働くのは初めてだ。「細やかな目配りや気配りを感じる。なあなあで妥協しない、まじめさも女性の良いところだね。男たちも作業着に気を使うようになり、現場が明るくなった。もっと女性が増えてほしいですね」と話す。
当初、職人同士の「てめぇ!」といった荒い声に怖くて固まったこともあったという。しかし、「女性には気を使ってくれる人も多く、『段取りよくて、作業がやりやすいよ』と声をかけてくれる」「これが男だったら、もっと怒られていただろうなと思う場面もあります」と振り返る。
作業用エレベーターで最上部に上がると、年配の男性がしわの刻まれた笑顔で「おうっ!」。今年80歳だ。「旧ビル建設も手がけた『伝説の鳶』さん。孫のようにかわいがってもらっています」と宮田さんは肩をすぼめる。
男社会でのマイノリティーとしての戦いを想像して取材を申し込んだが、実際の様子は「技術と役職を持つ職場の花」。自然体で女性らしさを生かしている。2人とも大学で建築を選んだのは「住まいに興味があったから」と、これまた女の子らしい理由だ。
女性としてのハンディは体力面だけという。「女性トイレや更衣室も用意されている。暑さ寒さはつらいが、それは男性も同じ。美容上、日焼けが心配なくらいです」と頼もしい。
休日はショッピングや美術館巡り、ヨガなど、いたって普通の独身女性だ。「結婚して子供を産みたいという願望がある。それには女子力を磨かなくちゃ」と宮田さん。岡崎さんは「私はあまり結婚はイメージできていない。海外で働きたい。そこでいい出会いがあれば」と語る。
前出の鳶職人、宮川さんは「将来は2人とも東京のど真ん中で、現場の所長になってもらいたいですね」と期待を込めた。小さな背中の後ろに組み上がる巨大な鉄骨のように、彼女たちの未来がぐんぐん伸びていくことを願った。