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ドイツに移住して数年が経つ日本人ライターが、現地の食習慣に驚かされた体験を綴る。日本の自炊は手間と時間をかけることが美徳とされる一方、ドイツ人の夕食は「パンにハム、チーズ、野菜」という極めてシンプルな構成が一般的だ。このあまりに簡素なごはんに最初は戸惑ったが、次第にその合理性と精神的な豊かさに気づき始める。
ドイツでは「Abendbrot(夕食のパン)」と呼ばれる習慣があり、文字通りパンを主食にした軽い食事が主流。調理時間は5分もかからず、食器も少なく後片付けも楽だ。一方、日本の自炊では味噌汁、主菜、副菜を何品も作りがちで、そのために毎日30分から1時間をキッチンで費やすのが当たり前になっている。
筆者は当初、これでは栄養が偏るのではと心配したが、実際のドイツ人の健康状態は良好。主食のライ麦パンには食物繊維が豊富で、チーズやハムでたんぱく質を補い、生野菜でビタミンを摂る。何より食事のストレスが極端に少なく、食べることよりも会話や休息に時間を使えるという利点がある。
日本の自炊の丁寧さは確かに素晴らしいが、それが「やらねばならない」という義務感に変わり、余裕を奪っている側面も否めない。ドイツの簡素な食習慣は、料理に対する完璧主義を手放し、自分の時間や心のゆとりを優先する大切さを教えてくれる。
筆者は今、週に数回はドイツ式の簡素な夕食を取り入れ、残りの日は日本の作り置きや時短レシピを活用している。どちらか一方を否定するのではなく、両方の良さを取り入れることで、より自分らしい食生活を築けるようになったと結論づけている。