
東武鉄道は、新型1000系電車を活用した自動運転技術の実証実験を、2028年度に大師線で開始すると発表した。同社は将来的な運転士不足や安全運行の効率化を見据え、段階的な自動運転導入を計画している。今回の実験では、ワンマン運転を前提としたシステムを検証し、車両側のセンサーや制御装置の精度を確認する方針だ。
実証実験の対象となる大師線は、全長約10キロメートルの路線で、比較的単純な線形と少ない踏切が特徴だ。自動運転の実用化には、地上設備との通信や異常時対応の仕組みが不可欠であり、同社は信号システムの改造も含めた総合的な検証を行う。実験はまず1編成で開始し、段階的に拡大する予定である。
一方、他路線への展開には課題が残る。特に亀戸線は約5キロメートルの区間に30カ所以上の踏切が存在し、踏切通過時の安全確認や非常停止処理の自動化が技術的難関となっている。踏切内への人や車両の侵入を検知するシステムの性能向上が求められ、同社は複数のセンサーを併用した冗長設計を検討している。
自動運転のレベルについて、東武は当面「GoA2(自動運転で加減速・停止、ただし乗務員が乗車)」を目標に掲げている。完全無人運転(GoA4)への移行は、社会受容性や法整備を踏まえ、時期は未定とした。また、新1000系は既存の保安装置と互換性があり、通常運転への切り替えも容易という。
今回の取り組みは、鉄道業界全体の自動運転推進の一環として注目される。東武は「段階的な実証を重ね、安全で持続可能な鉄道運行を目指す」とコメント。大師線での成果が、踏切の多い亀戸線や他の路線にも応用されるかが今後の焦点となる。