t>

政府が看板政策に掲げる飲食料品の消費税減税。その財源を捻出するための切り札として、内閣官房に設置された「日本版DOGE」こと行政改革推進チームが、各省庁に租税特別措置(租特)の自主点検を求めていたことが分かった。対象となったのは、期限の到来を控えた租特など計約120件。規模にしておよそ1兆円に上る。減税の実現に向け、むだの洗い出しが始まったかに見えた。
ところが、だ。各省庁から上がってきた点検結果に対し、政府が「廃止方針」を明示したのは、わずか1件だけ。それは経済産業省所管の特別事業再編に係る登録免許税の軽減措置だ。令和6年度の制度開始以降、申請実績が皆無という“形骸化”した措置であり、仮に廃止したところで、財源は1円も生まれない。片山さつき財務相は記者会見で、「査定官庁であるわれわれの目から見て、是認されるものではない」と述べたが、財源確保の観点からすれば、まったくの絵に描いた餅である。
一方で、減税規模の大きい租特は、しっかりと“生き残った”。直近の実績を見ると、中小企業向けの賃上げ促進税制が約3330億円、中小企業の法人税率特例が約1885億円、事業承継税制が約1535億円に上る。これらはいずれも「見直し・強化」という名目の下、期限延長を含めて温存される見通しだ。興味深いのは、同じ賃上げ税制でも、大企業向けについては適用期限の到来を待たずして廃止が決められたことだ。中小企業への配慮を装いつつ、実態は「取れるところから取る」という財務省の論理が透けて見える。
何よりおかしいのは、その順序である。政府が閣議決定した「骨太の方針」には、減税の財源について「8月上旬までを目途に、その方針を決定する」と明記されている。だが、その前提となる財源案を議論してきた「社会保障国民会議」は、結論をまとめることができず、中間とりまとめでの提示を断念した。決めるべき材料をつくるはずの場が、肝心の材料を出せないまま、期限だけが目前に迫っている。財源なき減税の旗印は、いつまで空のまま掲げられ続けるのか。政治の本気度が問われている。