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「人は何故、追い越しをするのだろうか?」。この素朴な疑問を手がかりに、追い越しをするドライバーの心理に迫る研究結果が、イスラエルのベン・グリオン(Ben-Gurion)大学によって発表された。移動手段としての運転をめぐる行動の背景には、時間や効率だけでない人間の複雑な感情が潜んでいるという。
同大学の調査チームは、150人のドライバーを対象に、ドライブシミュレーターで運転してもらい、その後に詳しい聞き取り調査を実施した。現実の道路では計測が難しい追い越しの瞬間を、実験環境で再現することで、ドライバーの主観的な判断と客観的な運転データを突き合わせる試みだ。
その結果、60%を超える人が、追い越しをした理由として、「そこにクルマがあったから」、あるいは「前のクルマについていくのが嫌だったから」と答えたという。前方の車両の存在そのものが刺激となり、追い越し行動を引き起こしている実態が浮き彫りになった。
シミュレーターの結果でも、追い越しが行われたケースでは、前方のクルマのスピードが、追い越しをしたクルマのスピードと同じか、速いケースがほとんどだったという。前方車両が遅いから追い越すという一般的な想定とは異なり、速度差がほとんどない状況でもドライバーは追い越しを選択していた。
同大学では、「追い越しをするのは、時間と燃料の無駄。前のクルマについていっても、目的地に到着する時間はあまりかわらない」と結論づけている。心理的な欲求が、合理的な判断を上回る瞬間があることを、この研究は示している。