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「『絶対に止めるな』と言っていたのに、急に『止めていい』なんて言い出されても困る」(北陸地方の地方銀行幹部)──。金融庁と日本銀行が5月に銀行業界へ出した異例のサイバーセキュリティー要請に対し、現場から困惑の声が上がっている。
要請は連名で9項目からなり、最大の焦点は「システムを能動的に停止させざるを得ない場合についても経営トップはあらかじめ選択肢として検討しておくべき」という記述だ。これは従来の「止めるな」という原則からの明確な方針転換を示している。
背景には、急速に進むAI技術の悪用リスクがある。特に注目されるのが「ミュトス」と呼ばれる危険なAIで、金融機関のシステムを標的にした攻撃が欧米で相次ぎ、日本でも警戒が強まっている。
地方銀行にとって、この方針転換は巨額の負担増を意味する。システム停止を視野に入れた新たなセキュリティー投資や、経営トップによる判断プロセスの整備が必要となり、特に資金力の限られた地銀は深刻な影響を受けかねない。
金融庁は「金融システム全体の安定性を守るための措置」と説明するが、現場の銀行員からは「突然のルール変更に現場は混乱している」との声も聞かれる。今後の対応次第では、地域金融の再編が加速する可能性も指摘されている。