t>

高市早苗政権は7月21日に「骨太の方針」を閣議決定した。その約1カ月前の6月半ばから、同方針に盛り込まれた2040年度までの累計370兆円超の官民投資計画や、日本銀行の金融政策・財政健全化スタンスに関する報道が相次いだ。
長期金利は6月19日の2.67%から7月9日には2.89%まで、22ベーシスポイント上昇した。市場では「骨太ショック」で長期金利が大幅に上昇したとの見方が広がった。
この「骨太ショック」説の背景には、大きく2つの理由がある。1つ目は、日銀の対応が後手に回るビハインド・ザ・カーブ懸念だ。高市政権が日銀による利上げをけん制し、結果的に利上げが遅れてインフレが定着するとの見方が強まる。最終的に長期期待インフレ率の上昇が長期金利を押し上げるという筋書きだ。
2つ目は、日本の財政悪化懸念だ。官民投資計画を公表した際に内閣府が作成した資料では、1年当たり10兆円の財政支援が想定されていた。防衛予算の増加や食料品消費税率の引き下げ、金利上昇に伴う利払い費の増加に加え、投資への財政支援が重なれば財政悪化懸念が強まる。その結果、国債利回りに財政リスクプレミアムが上乗せされ、長期金利が上昇するという流れだ。
筆者も日銀がビハインド・ザ・カーブに陥るリスクや日本の財政が悪化するリスクは懸念している。ただ、6月中旬から7月上旬にかけての長期金利上昇について言えば、この2つの影響は大きくなかったとみている。株高とも整合的であり、「骨太ショック」に伴う金利上昇との説明は誇張だ。