
長崎県対馬市の観音寺から2012年に盗まれ、韓国に持ち込まれた県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」のレプリカが完成した。このレプリカは、仏像の所有権を主張してきた忠清南道瑞山市の浮石寺で17日、安置式典が開かれる。レプリカは観音寺が提供した3Dデータをもとに韓国で制作され、協力した日本側関係者も式典で表彰される。
仏像は高麗時代の14世紀に「瑞州浮石寺」に納められたとされ、その後何らかの経緯で対馬に渡った。2012年に観音寺から盗まれ韓国に持ち込まれた後、韓国当局が窃盗団を摘発し回収。浮石寺は「倭寇に略奪された」と主張し、所有権を巡る法廷闘争が続いたが、2023年に観音寺の所有権が認められた。
浮石寺は複製を製作するため、仏像の3Dデータ化を観音寺に要請。観音寺がこれに応じ、対馬市出身の中庭和秀社長が率いる「クモノスコーポレーション」(大阪府箕面市)が無償で計測を実施した。観音寺の田中節孝前住職は昨年7月に浮石寺を訪れ、データを提供した。
今回のレプリカ製作と式典には、日本側から複数の協力者が関わった。観音寺は3Dデータの提供に加え、田中前住職が直接韓国を訪問して調整にあたった。また、クモノスコーポレーションの無償計測も重要な役割を果たした。式典ではこれらの関係者が表彰される予定である。
このレプリカ安置は、窃盗事件を契機に日韓間で文化財の帰属問題が浮上した事例として注目される。所有権が確定した観音寺側の協力姿勢が、両国の文化財保護における新たな協力の形を示している。今後の文化財交流にも影響を与える可能性がある。