
生成人工知能(AI)が暮らしに浸透し、重要な判断を人間に代わって下す場面が増えている。AIが倫理的に適切な回答を提示したにもかかわらず、利用者の望まない結果を招いた場合、その代償は誰が負うのか。プロ野球巨人の阿部慎之助前監督が逮捕された事件では、AIが重要な役割を果たし、テクノロジーが現実を翻弄する構図が明らかになった。
AIは業務の効率化やアイデア創出、未来予測などで社会に大きな恩恵をもたらす一方、犯罪行為への加担や偽情報拡散といった負の側面も世界各地で問題化している。
近年では、不正行為の防止や倫理的な判断を促す仕組みがAIに組み込まれ、精度は向上を続けている。明らかに悪とされる利用に対しては歯止めがかかるよう改善された。
阿部前監督の長女が助言を求めた対話型AI「チャットGPT」も、暴力行為に対して児童相談所に連絡するよう促した。長女はその指示に従い児相に通報。児相から警察に連絡が行き、父親は現行犯逮捕され、本人が望まない結末を迎えた。
心情の機微や人間関係の複雑さにテクノロジーが介在したことに対し、社会からは違和感の声が上がっている。AIの「最適解」が個人や社会を翻弄する危険性が浮き彫りとなった。