
出光興産系の原油タンカー「IDEMITSU MARU(出光丸)」がホルムズ海峡を通過し、日本に向かっていることについて、昭和28年の日章丸事件を描いた「海賊とよばれた男」の作者で日本保守党の百田尚樹代表は「さすが出光」と称賛した。一方、イスラム思想研究者の飯山陽氏は「通過を巡ってイランのプロパガンダが行われている」と警鐘を鳴らした。
「海賊とよばれた男」は平成24年に出版。英軍による海上封鎖を突破し、イランから直接石油を輸入した日章丸事件など、出光興産の創業者・出光佐三の生涯をモチーフにしたベストセラーで、平成28年に岡田准一主演で映画化された。
百田氏は29日、X(旧ツイッター)で「さすが出光!約80年前、出光が日章丸でイランの石油を積み込み、ホルムズ海峡を突破したことを思い起こさせる」と投稿。30日の動画番組では「その出光が、状況は違うが、日本のタンカーとして最初にホルムズ海峡を抜けたのは感慨深い」と声を詰まらせながら語った。
こうした意見に対し、飯山氏は29日の動画番組で、日章丸事件を振り返った同日の産経ニュースの記事を「お涙ちょうだい」と批判。さらに在日イラン大使館のXが同事件に触れたことについて「プロパガンダそのもの。日本は米国との同盟の裏でイランと手を組んでいる、と世界は思う。これに利用するために出光を使った」と主張した。
ホルムズ海峡通過後、出光丸は厳戒態勢の下、行き先を名古屋港に定め航行中。73年前の日章丸事件を想起させる今回の航行は、中東情勢の緊迫化を背景に注目を集めている。