地車の文化財的価値を再評価 橋爪紳也氏が語る大阪・天神祭「三ツ屋根だんじり」の独自性

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Haruki Sato
経済 - 10 6月 2026

大阪の地車(だんじり)のデザインと文化について、研究会を立ち上げて3年目になる。目的は、地車そのものの調査を基軸としつつ、「地車の文化財的価値」について従来にない視点から検討を加えることにある。

地車を曳行(えいこう)する祭は、大阪府内や兵庫県内、奈良県内、さらに瀬戸内海に面した各地に多く伝わる。

人々にとっては世代を超えて継承した文化であり、何よりも地域の誇りである。また、地車そのものも、大工の技による造形美や、彫刻師による彫物、縫箔師(ぬいはくし)による飾幕など美術作品として優れたものが多く見られる。日本を代表する祭具だという点に異論はないだろう。

さかのぼると、平成21(2009)年に「京都祇園祭の山鉾行事」(京都市)と「日立風流物」(茨城県日立市)が、それぞれ単独で「ユネスコ無形文化遺産」に登録された。その後、先行する2件に国の重要無形民俗文化財に指定されている行事をまとめて追加する提案がなされた。審査の結果、28年、「秩父祭の屋台行事と神楽」(埼玉県秩父市)や「高山祭の屋台行事」(岐阜県高山市)など全国18府県で伝承される33件が「山・鉾・屋台行事」として登録された。

この経過のなかで、地車は対象にはならなかった。その背景には、国の指定文化財となっている地車が1基もなかったという事情がある。そのため地車を加えて「山・鉾・屋台・地車行事」などと対象を拡大することができなかったわけだ。

調べてみると、国指定はもとより、自治体レベルの文化財になっている地車も多くあるわけではない。大阪では吹田市の教育委員会が、江戸時代に制作され現在も高浜神社の祭で曳行されている地車7台を、10年に市の文化財に指定した例がある。ただ大阪府内の地車全般に関して、文化財調査がなされてきたわけではない。

私たちの研究対象は、大阪天満宮(大阪市北区)の「天神祭」にあって宮入りが行われる天満市場の地車講(じぐるまこう)が所有する地車である。天神祭では江戸時代後期、氏地の各町をはじめ、各種の商いを行う同業者仲間が曳(ひ)き出す地車が、年によっては80台以上も宮入りした。しかし現在は天満市場の1基を残すのみである。

嘉永5(1852)年につくられたと類推され、古式を残す。だが、そのデザインは実に個性的だ。多くの地車は二つの屋根を戴(いただ)くだけだが、天満市場のものは中央に高く屋根を掲げ、前後に同じ高さの屋根を低く構える。計三つの棟があることから「三ツ屋根だんじり」と呼ばれている。

近年、天満市場がまったく同じ姿で地車を1基、新調したことを受け、先代は役割を終えた。そこで、この地車の文化的な価値を再検証したいという地車講の皆さんの思いを受けて調査を始めたかたちだ。

私たちは解体のうえ部材ごとに実測調査を行い、デザインや構造の特徴、さらには修理の履歴を検証した。また研究の枠組みとして、私は大阪を中心として瀬戸内海沿岸に広がる「瀬戸内文化交流圏」を設定、地車を広域でとらえる視点を重視しようと考えた。広域での人々の交流の経過を追い、文化が伝播(でんぱ)する過程を確認することで、地車の文化的な価値を再評価する新たな視点が得られると考えたからだ。

参照したのが、篠笛(しのぶえ)奏者であり、民俗学者でもある森田玲氏の先行研究である。森田氏は、文献史料を読み込むとともに、膨大なフィールドワークを重ねて、地車文化の歴史と現状を体系的に論じた『日本だんじり文化論―摂河泉・瀬戸内の祭で育まれた神賑の民俗誌』(創元社)をまとめている。

私たちは調査結果を公表すべく毎年フォーラムを開催、今年2月には森田氏に基調講演をお願いした。

一般に各地の大型の屋台や山車は、京都の祇園祭の山鉾にルーツを持つと語られることが多い。地車も、ときに同様の枠組みで説明されることがある。対して森田氏は、地車は京都に由来するのではなく、「大坂で生まれた独自の祭文化」であることを論証してきた。加えて、篠笛奏者としての知見も生かして、祭囃子(ばやし)の笛や太鼓の旋律からも民俗事象の伝播と変遷の過程を追っている。今後も森田氏の指導も受けながら、研究会を継続したいと考えている。

ユネスコの無形文化遺産に登録された全国の山・鉾・屋台行事の場所を整理してみると、大阪府や瀬戸内海沿岸が見事に空白になる。

地車は一定の古式を守りながらも、時代に応じて常に改良を重ねてきたがゆえに、文化財にはなじまないという指摘があるようにも聞く。しかし近年、日本でも文化財を保護するのは当然として、加えて利活用することの意義が問われている。ゆえに私は祭の変化そのものも地域の文化であると考え、祭全体、さらには地車そのものを文化財として評価すべきだと思う。

編集部注:この記事はAIを使用して作成されており、産経新聞の記事を元に、内容を変更せずにリライトしたものです。
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