
欧州連合(EU)や米国を含む5カ国から制裁を受けるロシア関連の原油タンカー「ボイジャー」が1日、ロシア産原油を積載して、愛媛県今治市の菊間港に向かっていることが分かった。中東産原油の調達が滞る中、ホルムズ海峡の封鎖後初のロシア産原油輸入になるとみられる。サハリン(樺太)の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」で生産されたもので、米国やEUによる制裁の例外となっている。
菊間港周辺にある太陽石油(東京都千代田区)の石油施設まで原油を運搬しているとみられる。ボイジャーは昨年6月にも、この石油施設へ原油を運搬した。
太陽石油の広報担当者は「経済産業省から、昨年と同様に原油受け入れの依頼があった。ボイジャーによる輸入は制裁対象にはなっていないと聞いている」と話した。同社は2022年のウクライナ侵略後にロシア産原油の取引を中止し、経産省の要請があった場合のみ輸入しているという。
経産省資源エネルギー庁の担当者は産経新聞の取材に対し、「中東情勢が悪化する中、量は少ないが、ロシア産の原油もエネルギーの安定供給において重要だ。米国とも調整し、サハリン2からの輸入は、制裁リスクがないことを確認している」と述べた。
船舶の位置情報を提供するサイト「マリントラフィック」によると、ボイジャーは4月24日にサハリンのプリゴロドノエ港を出港し、日本海沿岸のナホトカ湾を経由して、大隅海峡(鹿児島)に迫っている。現在は、佐多岬(鹿児島)の南約10キロ沖の海上を11ノット(時速約20.4キロ)で航行。菊間港には2日午後7時19分に到着予定となっている。
ボイジャーは、2019年建造のオマーン船籍の原油タンカー。2025年1月、米財務省の外国資産管理局(OFAC)がロシアのウクライナ侵略に関連して制裁対象に指定し、EUなども続いた。ただサハリン2は、米国やEUの制裁適用から除外されている。
日本はサハリン2からLNG(液化天然ガス)の調達を継続している。ガス田はその性質上、天然ガスに加えて、原油も「随伴」で産出されるため、サハリン2から原油の輸入が行われている。(西山諒)