t>

【イタリア発コラム】夜行バスと90年前の決勝ゴール——松永行が遺した使命

1 minutes reading View : 5
アバター画像
Mika Nakamura
ワールドカップ - 29 6月 2026

ベルリンの奇跡と呼ばれる1936年の日本vsスウェーデン [写真]=Getty Images

モンテレイからダラスまで夜行バスに乗った。走行距離約1000キロ、13時間の長旅だった。とは言え、2014年ブラジル大会のときには50時間以上バスに揺られたこともあったし、2018年ロシア大会のときも長距離の寝台列車でよく移動した。だから、ワールドカップでの長旅は、私にとってはある意味「定番」なのである。

今からちょうど90年前、日本vsスウェーデンのために、私のバス旅とは比べ物にならないほどの大遠征をした人たちがいる。1936年ベルリン・オリンピックに出場した男子日本サッカー代表だ。

記録によれば、彼らは6月20日に東京を出発し、下関、釜山、満州を経由してシベリア鉄道で約2週間かけて欧州入りしたとされる。

もちろん私のたった半日の長旅とは比較にならないが、奇しくも私と彼らが「目指していたもの」は一致している。それは、大舞台でのスウェーデンとの戦い。ただ、私は“傍観者として”、彼らは“当事者(競技者)”として、長旅の末、それを目指したのである。

7月3日にベルリン入りした日本代表は、約1カ月間、練習試合などで調整(連戦連敗だったようだ)を繰りかえし、8月4日、スウェーデンとの初戦を迎える。

その試合で、代表は前半0-2からの劣勢を跳ね返し、3-2の逆転勝ちをおさめた。世にいう「ベルリンの奇跡」である。

奇跡を演じたメンバーの中に、私の高校の先輩が2人いた。FWの松永行(あきら)選手とMFの笹野積次選手だ。2人はともに旧制志太中(現在の藤枝東高校)の出身であり、松永さんは東京文理大(現筑波大学の一部)、笹野さんは、早稲田大学の蹴球部員だった。早稲田のア式蹴球部を中心に編成されたチームの中で主将を務めていた笹野さんは控え、逆に松永さんは先発としてスウェーデン戦に臨んでいる。

終了間際、松永さんにボールが出る。彼は地面を蹴りながらもシュートを放ち、決勝点を挙げた。それは、日本代表が世界のサッカー界に初めて存在感を示したゴールだった。

故郷では今もこの2人の話題が出る。特に決勝ゴールを挙げた松永さんの話は、栄光の記憶として語り継がれている。ただ、ほとんどの人が栄光の話しかしない。その後、彼が歩んだ運命を語る人は、藤枝周辺にも少ない。

松永さんは、1943年、軍人として出征したガダルカナル島で亡くなっている。ガダルカナル島での戦いは、アメリカ軍の猛攻と軍の食料供給の不備からくる飢えに軍人たちが苦しめられた、過酷で陰惨な戦争だった。松永さんは中隊長として最後まで戦意を失わず、オースティン山の守備に回り、そこでいわば玉砕に近い形で命を落としている。

このエピソードを思うたびに、スポーツとは平和があるからこそ成り立つものであることを痛感する。オリンピックのような大舞台でジャイアントキリングを完成させる重要なゴールを決めながら、その数年後に、激戦の戦地へ送り込まれ命を落とす。それが「当たり前」あるいは「名誉」とされた時代もあったのだ。オリンピックだけが平和の祭典ではない。すべてのスポーツイベントは平和なくては成立しない。

ウクライナとロシアの戦争はまだ続いている。イランと米国の紛争も終結にはほど遠い状態だ。今回のワールドカップでも、イラン代表は参加を認められたが、米国内での滞在は禁止されている。ロシアは、世界のサッカーシーンから事実上締め出されており、ウクライナ代表は、欧州予選に参加し、プレーオフまでたどり着くも、今回の日本の相手、スウェーデンに敗れ、2006年以来の本大会出場を逃している。

平和への脅威は、今大会においても決して無縁の要素ではないのだ。

[写真]=Getty Images

ダラス・スタジアムで日本vsスウェーデンが始まった。56分に前田大然のゴールで日本が先制。しかし、その6分後、アンソニー・エランガの絶妙な角度からのゴールが決まり引き分け。

1-5で敗れたオランダ戦から特に守備面での修正が感じられたスウェーデンだった。日本のカウンター封じはある程度成功していたように思う。やはり欧州勢はなんやかんや言ってもしぶとい。

もしGK鈴木彩艶の度重なる好セーブがなかったら、結果はどうなっていたか分からなかった。ともあれ、グループリーグの3戦目らしいタフなゲームであった。

これで日本vsスウェーデンの通算成績は、PK戦決着を引き分けとする場合、1勝1敗4分。ベルリンの奇跡以来、日本はスウェーデンに勝ち切れていない。

松永さんは、1936年発行の『体育と競技』の中でこう記している。「(今後の課題として)ショートパスの速攻法をあくまでも伸ばし、之に加へるに遅攻法をとり、緩急よろしきを得て、始めて日本蹴球の完成の時は来るのである」と。

ショートパスを軸に速攻と遅攻をバランスよく取り混ぜ敵に立ち向かう。彼のその思いは、今の日本代表にも受け継がれているように思う。

最後に彼はこうも書いている。それが実現できたときが、「世界蹴球覇者たり王者たる時なのである」。

ワールドカップも対象って知ってる? 日本サッカーの成長を支える「スポーツくじ」

日本サッカーの発展を支える「スポーツくじ」。Jリーグのイメージが強いが、今夏北中米で開催されるワールドカップも対象となっている。

なかでも1試合から購入できる『WINNER』は、全104試合対象の「1試合予想くじ」のほか、日本代表の成績や優勝国を予想する「競技会予想くじ」も販売。インターネット決済であれば、キックオフ10分前まで購入可能な試合もある。

そして、「スポーツくじ」の収益は、日本のスポーツ振興に役立てられている。サッカーについても、選手の育成、全国各地のサッカー教室・大会の開催やグラウンド整備などにも広く活用されており、「スポーツくじ」を楽しむことが、日本サッカーの未来を育てる“応援”にも繋がっている。

1970年静岡県生まれ。慶應義塾大学文学部卒。1999年からイタリアに渡る。セリエAなどの取材を続けながら、雑誌(ネット)記事の執筆・翻訳、サッカー中継のインタビュアー、テレビ番組のコーディネーターなど多種の仕事に携わる。2010年以降は、長友佑都選手、本田圭佑選手のインタビュアー兼番記者として年間50試合近く、現場でインテル、ミランの取材を行う。東京オリンピック・パラリンピック2020では柔道、空手、ライフルなどイタリアの複数のナショナルチームの通訳も務めた。著書に『サッカーとイタリア人』(光文社新書)、訳書に『セリエA発アウシュヴィッツ行き』(光文社 2024年サッカー本大賞読者賞)などがある。大阪芸術大学文芸学科教授。

ワールドカップも対象って知ってる? 日本サッカーの成長を支える「スポーツくじ」

FIFAワールドカップ2026|出場国一覧|試合日程・結果・放送・配信・実況・解説

サッカー日本代表 vs ブラジル代表|地上波テレビ放送・ネット配信・中継

全体練習合流の板倉滉「自分が出る出ないは関係なくチーム一丸で」…ブラジル撃破へ「いいチームで終わりたくない」

森保一監督、ブラジル戦連勝へ「これまで勝率0%でしたが、チャンスがあることは分かった」 PK戦は“挙手制”から“指名制”に変更明言

開催国カナダがエウスタキオの劇的後半AT弾で南アフリカ撃破!…初のノックアウトステージ勝利でラウンド16進出

「心よりお詫び申し上げます」韓国代表のホン・ミョンボ監督が辞任表明…イ・ジェミョン大統領は指揮官とKFAを痛烈批判

ウルグアイ代表MFウガルテが長期離脱へ…スペイン戦でひざの靭帯損傷

後半ATにゴールを奪い合う劇的展開…アルジェリア代表指揮官、死闘の末の決勝T進出に「勝ちたいという強い意志を示した」

韓国代表、W杯敗退決定 GSで1勝2敗…3位の成績上位8チームに入れず

2戦目は5得点で快勝! オランダ代表FWガクポが語る初戦との違い「日本は非常に…」

チュニジア代表DFが怒り爆発「日本代表を見てみろ」…W杯敗退決定、チーム作りに不満「無理に決まっている」

3位集団、決勝T進出「5/8」決定…韓国は8番目で残り3グループの結果待ち

FIFAワールドカップ歴代得点ランキング|W杯通算ゴール数一覧・最多得点者・全記録まとめ

編集部注:この記事はAIを使用して作成されており、Soccer Kingの記事を元に、内容を変更せずにリライトしたものです。
Share Copied