t>

不審死、変死、孤独死。死因が特定できない遺体が今日も西田法医解剖医のもとへ運び込まれる。その数は減る気配を見せない。
西田法医解剖医は解剖台の上で遺体と向き合いながら、なぜこの人は死を選んだのか、死を待つしかなかったのかを考える。そこには現代社会の深刻なひずみが隠されている。
宝くじで借金を返そうとした男は「10億円の夢」に追い詰められ、自死した。老々介護に疲れ果てた末路、色とりどりのあざが物語る虐待死――どの事例も他人事とは言い難い。
遺体たちは、現代人の生き方に静かな問いを投げかける。経済的な格差が死に方に刻む濃い影を、西田法医解剖医は見つめ続けている。
『いまどきの死体 法医学者が見た幸せな死に方』より、第1話をお届けする。遺体が教える「幸せな死に方」とは何か、その答えがここにある。