
商船三井クルーズが運航する大型客船「にっぽん丸」(2万2472トン)は10日午前8時40分ごろ、横浜市中区の横浜港大さん橋国際客船ターミナルに帰着し、約35年にわたる運航の歴史に終止符を打った。岸壁には大勢のファンが詰めかけ、手を振ったり国際信号旗「UW3」を掲げたりして別れを惜しみ、船の引退に名残を惜しむ光景が広がった。
「にっぽん丸」は平成2年に3代目として就航し、客室190室、定員最大422人を誇る。これまでに60万人以上が乗船し、航行距離は約530万キロメートルに達する。横浜港では引退前の1カ月間、お別れプロジェクトが実施され、乗客やファンが思い出を書き込むメッセージブックの設置や、出港時の見送りイベントが行われた。
この日、最後の航海を終えた「にっぽん丸」は午前8時40分ごろに着岸。横浜港に寄港中の同社の大型客船「三井オーシャンフジ」(3万2477トン)と並び、白い船体が岸壁に優雅に浮かんだ。多くの見送り人がカメラを構え、別れの瞬間を記録した。
午前9時10分ごろからターミナル屋上で開かれた引退セレモニーでは、横浜市の新保康裕港湾局長が「日本のクルーズの歴史に大きな足跡を残された。横浜港としても次の時代のクルーズを支える港として環境整備に取り組む」とあいさつし、船の功績を称えた。
内田幸一船長は「ワンナイトクルーズから世界一周クルーズまで、横浜港から何度もお客さまと感動を分かち合える航海に出かけた」と振り返り、乗客や関係者への謝意を述べた。船はこの日の帰着をもって35年の歩みを終え、今後は新たなクルーズ船がその役割を引き継ぐ予定だ。