t>

コロナ禍を乗り越えたANAとJALが、2023年度に過去最高業績を達成した。しかし喜びもつかの間、国内線では需要回復に伴うコスト上昇や値上げの限界から採算が悪化しており、国際線では東アジアのLCCや中東系航空会社との競争が激化している。両社は今、新たな乱気流に直面している。
国内線の採算悪化の主因は、燃油価格や人件費の高騰に加え、リモートワークの普及によるビジネス需要の回復遅れだ。ANAの国内線旅客収入はコロナ前の9割程度に戻ったが、運賃引き上げが需要を冷やすジレンマも抱える。一方JALは地方路線の減便や機材の小型化で対応を急ぐが、収益改善には至っていない。
国際線では、東アジアの航空会社が旺盛な需要を背景に増便攻勢をかけており、ANA・JALはシェアを奪われつつある。特に中国や韓国のキャリアは低価格と最新機材で勝負し、日本発着路線の競争が激化。また中東系航空会社も欧米路線で日本経由の需要を取り込んでおり、両社は品質とブランド力で差別化を図る必要に迫られている。
こうした厳しい環境下で、ANAは2024年度に国際線の新路線開設や貨物事業の強化を打ち出し、JALはコードシェア拡大やプレミアムサービスによる収益向上を目指す。しかし短期的にはコスト増加と競争激化が収益を圧迫する見通しで、両社の今後の戦略が問われている。
航空業界アナリストは「国内線の回復が一巡し、国際線の競争がさらに激しくなる。ANAとJALは差別化戦略とコスト管理の両立が不可避だ」と指摘する。両社がこの乱気流を乗り切れるかどうかは、今後の経営判断にかかっていると言えるだろう。