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8月11日、京都大の山中伸弥教授が人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立を報告してから20年の節目を迎える。「夢の再生医療」として期待され、実用化に向けて研究が進められてきたiPS細胞。3月には、いずれも治療製品でパーキンソン病を対象とした「アムシェプリ」と、重症心不全を対象にした「リハート」について、国が条件・期限付きで世界初の薬事承認を行った。ようやく夢が現実となり始め、喜びの声が聞かれる一方で、本格的な普及に向け、さまざまな課題も見えてきた。
「今までパーキンソン病に『治療』という言葉はありませんでした。だから、まずはうれしい。その一言です」全国パーキンソン病友の会の代表理事で、自らも患者の一人である丸山美重氏は、これまでの動きを前向きに受け止める。パーキンソン病は、何らかの理由で、脳の情報伝達を担う物質「ドーパミン」を分泌する神経細胞が減少し、手足の震えや動きにくさを引き起こす進行性の難病だ。今回の承認で、症状の改善に向けた新たな選択肢が登場した形となる。
アムシェプリは、iPS細胞から作った神経のもとになる細胞を脳に移植する。3月の承認後、友の会には問い合わせが相次いだ。とはいえ、丸山氏は「『これで治る』と思う会員もいる。喜びに水を差したくはないが、まだ確かめる途中だと伝えねばならない」と語る。患者の希望を守りながら、過剰な期待を抑える難しい役割だ。
宮沢浩一副会長も「自分も(治療を)受けられるかもしれない」と考えたが、「広く使われるまでには時間がかかるという思いの方が強い」と慎重に受け止める。
一方、リハートはiPS細胞から作った心筋細胞をシート状にし、重症心不全患者の心臓表面に貼り付ける。細胞が出す物質で新しい血管を作り、傷ついた組織の修復を促す。治験では疲労感や動悸(どうき)などの症状が改善し、半数以上で心機能や運動能力の改善もみられた。重篤な副作用や細胞のがん化は確認されなかった。