
旅行最大手のJTBは24日、青海友常務執行役員(55)が社長に昇格する人事を内定したと発表した。現社長の山北栄二郎氏(62)は代表権のある会長に就き、現会長の高橋広行氏(69)は相談役に退く。これらの人事は6月30日に開催予定の株主総会における承認を経て、同日付で正式に発効する見通しだ。トップ交代により、同社はさらなる成長フェーズへと舵を切ることになる。
同日、都内で記者会見に臨んだ青海氏は、自社の強みと今後の展望について力強く語った。青海氏は「114年の歴史の中で社員に根付いた、お客さまの期待に応える対応力が当社の強み。それが発揮されるようAI(人工知能)を存分に活用し、会社の成長につなげていきたい」と述べ、テクノロジーによる現場力の底上げを強調した。今後は海外事業の売上比率を引き上げる一方、日本の地方が持つ観光資源を世界へ発信していく方針だ。
足元の国際情勢への懸念についても言及があり、緊迫化する中東情勢は経営上のリスクとして捉えている。青海氏は「経営としてはダメージを想定せざるを得ない。旅行以外の事業も育てていく」と述べ、不透明な社会情勢に対応するための経営多角化を加速させる姿勢を示した。地政学リスクを織り込みつつ、収益源の分散を図ることで、強固な経営基盤の構築を目指す考えだ。
2020年のコロナ禍という未曾有の危機の中で就任した山北栄二郎氏は、自身の歩みを感慨深く振り返った。山北氏は「生き残るための構造改革を行ってきた。23年3月期には黒字転換し、スピード感をもって成長軌道に乗せることができた」と語り、苦境からの脱却に自信をのぞかせた。今回の社長交代について、山北氏は「飛躍を目指す中での節目のタイミングだ」と述べ、新体制への期待を寄せている。
新社長に内定した青海氏は北海道出身で、1993年に日本交通公社(現JTB)へ入社した生え抜きだ。執行役員や経営戦略担当(CSO)を歴任し、直近では長期ビジョン戦略推進の陣頭指揮を執るなど、経営の中枢を担ってきた。コロナ禍における抜本的な経営改革を支えた手腕が、新たな長期ビジョンの実現に向けてどう発揮されるかが注目される。次世代のJTBを牽引するリーダーとしての手腕に、業界内外からの期待が高まっている。