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「課長、飲みに行きましょうよ」と何度も誘ってくるZ世代社員の姿が、一部の職場で話題を呼んでいる。「若者は飲み会嫌い」という従来のイメージとは逆行するこの現象の背後には、コロナ禍を経た価値観の変化や、上司に対するリスペクトと距離感の新たなバランスが潜んでいる。本稿では、具体的なエピソードを交えながら、Z世代社員の本音と上司世代の葛藤を浮き彫りにする。
東京都内のIT企業で働く20代の男性社員は、直属の上司を週に一度はランチや飲みに誘うという。断られても「次こそは」と粘り強く誘い続ける。彼の真意は「仕事のフィードバックを得たい」「キャリア相談をしたい」という純粋な目的に加え、「上司とプライベートな時間を共有することで、職場での信頼を深めたい」という思いがある。一方、50代の上司は「以前は部下との飲み会は義務感があったが、今はZ世代から積極的に誘われることに驚きと戸惑いを感じる」と打ち明ける。
この現象を理解する鍵は、Z世代が持つ「フラットな関係性の重視」にある。彼らは年功序列や上下関係にこだわらず、仕事上のメリットに直結する交流を重視する傾向が強い。飲み会の場を「業務外のコミュニケーションの場」ではなく、「キャリア形成のための戦略的な場」と捉えているのだ。「飲み会は無駄」という従来のZ世代像は、むしろ「意味のある飲み会」の需要が高まっていることを見逃している可能性がある。
しかし、上司世代には困惑もある。長時間の付き合いを避けたいという気持ちと、部下のやる気を損なわないようにしたいという板挟み。ある課長は「断り続けると部下が不満をためるのではと心配だが、毎回応じるのも疲れる」と本音を漏らす。専門家は「強制ではないが、一度断られたら二度と誘わないZ世代はいない。継続的な誘いは信頼の証である一方、上司側も自分のペースで交流できるルールを事前に決めることが重要」と指摘する。
結局、「若者は飲み会嫌い」というレッテルは、Z世代が求める「新しい形の飲み会」の実態に追いついていないだけかもしれない。目的が明確で、互いの都合を尊重するスタイルが浸透しつつある今、上司と部下が共に成長できる場としての飲み会が再定義されつつある。コロナ禍でオンライン飲み会が普及した後、あえて対面を選ぶZ世代の行動は、単なるノスタルジーではなく、未来の職場コミュニケーションのヒントを秘めている。