
ホルムズ海峡の封鎖が現実味を帯びる中、石油供給の途絶がアジア各国の経済を直撃している。この緊急事態を最大限に活用しているのが中国であり、トランプ前政権の中東政策が皮肉にも北京の影響力拡大を加速させる結果となっている。
イランと米国の対立が軍事衝突へと発展し、ホルムズ海峡を通る原油タンカーの航行が著しく制限されている。日本や韓国、インドなど石油輸入に依存する国々では燃料不足が深刻化し、経済活動に大きな打撃が出始めている。
こうした混乱の中、中国は周辺諸国に対して支援の手を差し伸べている。石油備蓄の融通やエネルギー関連技術の提供と引き換えに、外交的な影響力を急速に拡大しているのが現状だ。再生可能エネルギー技術の売り込みもその一環であり、長期的な依存関係の構築を狙っていると見られる。
トランプ前大統領が進めたイランへの強硬姿勢や同盟国への圧力は、結果的に中東における米国の信用を損ない、各国を中国へと向かわせた。皮肉にも「アメリカ第一」の政策が、中国に漁夫の利をもたらす形となっている。
中国の狙いは、当面の石油不足を緩和するだけでなく、エネルギー安全保障を巡る新たな国際秩序の形成に主導的な役割を果たすことにある。柔軟な外交戦略の裏では、西側の影響力を削ぎ、自国中心のサプライチェーンを構築する戦略が進行している。