
三菱自動車は6月13日、神奈川県横浜市中区に首都圏では約24年ぶりとなる新店舗「関内店」を開業する。整備工場を持たない販売専門のショールームとして、多様化するユーザーニーズに応える「都市型ディーラー」の新たな形を提示する。
首都圏での三菱自動車の新規出店は実に約24年ぶり。販売に特化した同社初の試みとなる。
11日の報道向け内覧会で、営業を統括する五十嵐京矢副社長は「お客様からは、三菱の車を買いたいが近くにお店がない、という声があったのも事実。確かに、都市部においては空白エリアが存在している。これをしっかりと埋めていき、2030年までに(国内販売で)18万台※を目指すということをしっかりやっていく。2030年までにできれば30店舗ほど、首都圏、愛知、大阪などの都市部を中心に出店していきたいと考えている。その流れの中の1号店がこの関内店だ」と新店舗の狙いを語った。
三菱は『アウトランダーPHEV』『デリカD:5』『トライトン』など、モータースポーツ由来の四輪制御技術を生かしたオフロード性能と力強いデザインを強みとする。アウトドア志向の高まりも追い風に、新規ユーザーが増加。5月の中長期計画で「尖った商品」を掲げ、7年ぶりに復活する『パジェロ』などで求心力を高める方針だ。改めて「日本を重点市場」と位置づけ、こうした戦略を支える柱として「都市型ディーラー」を据える。
これらの商品は従来より高価格帯となるため、新たな富裕層を含むユーザーへのアプローチが課題となる。五十嵐副社長はどのような施策を打ち出すのか。
五十嵐副社長は「大きなポイントとしては2つある」とし、「まずは店構え。都市部あるいは地方部においても店舗のリニューアルをこの数年積極的に進めている。ここからさらにもう一段やらなければいけないのがスタッフの教育も含めた接遇の質。販売会社さんと連携をしながら、まだまだ取り組んでいかないといけないし、これについては終わりがないと思っている。量の面と質の面でしっかり揃えていきたい」と説明。さらに「単にパジェロということではなく、三菱自動車が目指す世界観、尖った商品に対して、商品知識あるいは接遇の能力も含めて、三菱ブランドをしっかりお客様に伝えられる資格制度のようなものを考えていきたい」と展望を語った。
関内店を運営する東日本三菱自動車販売の大平容禄社長は「やはり最近、三菱自動車のブランド力がどんどん上がってきていて、新規のご来店のお客様が非常に増えているという状況。競合ブランドとは一線を画しており、指名買いも多い」と喜びを語る。「このエリアは可処分所得の高いお客様、富裕層がたくさんおられ、外車のシェアも高い。三菱自動車は今、他ブランドから(ユーザーを)取れる車を展開しており、さらに年内にはパジェロも出る。これはかなり集客が見込めるだろう、新規のお客様が取れるだろうという期待を込めて今回出店した」と期待を示した。
新店舗は横浜中華街や横浜スタジアムに近く、JR関内駅などから徒歩圏内。延べ面積約110坪で展示車両は2台と小規模で、スタッフは4名。整備工場はなく、アフターサービスは近隣店舗を案内する販売特化型。都市部のライフスタイル変化やモビリティ意識の変化を踏まえ、新たな顧客接点を模索する実験的な試みでもある。
大平社長は「お店が持っているお客様ゼロの状態からのスタート。すべてが新規のお客様というのが既存店舗と全く違う点」と述べ、「昔は1人の営業スタッフが1台車を買ったら次の代替まで、ずっとサポートしていくという形が強かったが、今は少し変わってきているのかなと思う。(販売特化型が)上手くいくかどうかは、これからだと思っている。そのトライアルをしていく。この店舗が上手くいった暁には、どんどんやっていきたいと考えている」と語った。
今回の出店で全国の三菱新車販売店は519店舗に。全国でも2024年の「神戸空港店」以来2年ぶりの新規出店となる。”パジェロフィーバー”に向けた基盤づくりが着実に進んでいる。