
2007年の世界遺産暫定リスト記載から19年を経て、奈良県の飛鳥時代の遺跡群「飛鳥・藤原の宮都」の世界文化遺産登録をユネスコ諮問機関イコモスが6日に勧告した。これはさまざまな人たちによるたゆまぬ努力の結果だった。
「登録されることがゴールではない。19の構成資産の価値を未来に伝えていくことが私たちの使命」と、地元で12年以上にわたり尽力してきた同県明日香村教育委員会参事兼文化財課長の小池香津江さん(56)は気を引き締める。
小池さんは平成4年に県立橿原考古学研究所に研究職として入所し、24年からは県文化・教育課(現世界遺産室)に移り、橿考研に戻った2年間を除き登録のために骨を折ってきた。
令和2年から村教委文化財課で、ユネスコの世界遺産委員会に提出する推薦書の素案作成などに携わったが、完成までの道のりは平坦ではなかった。
国の文化審議会が「登録に必要な保護措置が十分でない」と課題を突き付けたこともあった。構成資産の多くで、保護の対象となる国史跡の指定範囲が十分ではなく、範囲拡大に向け奔走した。
飛鳥時代に法律や官僚機構が整備され中央集権の国造りが進んだことは国内では知られているものの、海外はそうではない。ユネスコが求める「顕著な普遍的価値」を示すため、「飛鳥」と「藤原」の宮都で進んだ飛鳥時代の中央集権化を、古代国家が形成された当時の東アジア全体の中で重要と位置づける作業にも取り組んだ。
村と橿原市、桜井市、県が設立した登録推進協議会が初めて推薦書素案を文化庁に提出したのは令和2年。さらに3回書き直し、ついに昨年1月、政府が世界文化遺産候補としての推薦書をユネスコに提出した。
小池さんは「飛鳥時代は日本の始まりだが、世界の国それぞれに始まりがある。人類にとってどんな価値があるか証明しないといけなかった」と振り返る。「東アジアで中央集権国家ができ上がっていく中で、その変遷を示せるのは『飛鳥・藤原の宮都』しかない」と自信をのぞかせた。
強靱な国造りを遺跡が証明 「飛鳥・藤原の宮都」イコモスが世界遺産の登録を勧告