t>

日本古文書学、中世史学の権威として知られる中村直勝博士(1890~1976年)の没後50年を記念した特別企画展「古文書の魅力-没後50年 中村直勝と双柏文庫」が、奈良市の大和文華館で開かれている。博士のまなざしを通じて古文書の世界を再発見する内容で、7月7日まで開催される。
中村博士は大津市の長等神社宮司家の長男として生まれ、京都帝国大学で古文書学を研究。京都帝国大学助教授や京都女子大学教授などを歴任した。何百年も前の書状から当時の人物の姿を感じ取ることに喜びを見いだし、自ら古文書を収集しては読み込む日々を送ったという。
大和文華館は中村博士のコレクションである「双柏文庫」を所蔵しており、今回は文庫に収められた古文書を、博士が残した言葉とともに紹介する展示となっている。
会場では計71件が展示。このうち「足利尊氏自筆御神号」(南北朝時代)には「八幡大菩薩」の文字が記され、博士自身も自慢の一品だったという。「伊達政宗書状」(江戸時代)は古文書収集初期の購入品。さらに「鷹司教平書状」と「深如海院宮女房奉書」は、それぞれ江戸時代の公卿と皇女の妻が書いたもので、博士は朝廷と幕府に翻弄された2人の不遇に思いを寄せ、この2点を同一の箱に納めて供養したと伝えられる。
大和文華館の一本崇之学芸部係長は「古文書を愛した中村博士がどのような視点で古文書を見ていたかを知ってもらいたい」と話している。
月曜休館。観覧料は一般630円、高校・大学生420円、小・中学生無料。7月7日は無料招待デーとなる。問い合わせは大和文華館(0742・45・0544)へ。