神戸市室内管弦楽団、補助金打ち切りで存続の危機 芸術の価値は数値化できるか

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Haruki Sato
エンタメ - 13 May 2026

上方落語復興の立役者である桂米朝は若き日、師匠の米団治から次のような言葉をかけられた。「一生懸命に芸をみがく以外に、世間へお返しの途(みち)はない。また、芸人になった以上、末路哀れは覚悟の前やで」(桂米朝『落語と私』)。この言葉は今の時代にも、芸を志す者の胸に響くものがある。

神戸市は令和9年度限りで神戸市室内管弦楽団への補助金を打ち切ると通告した。楽団は危機的な状況に置かれ、自らの芸が市民に受け入れられているのかという問いに直面している。

音楽監督を務める世界的チェリストの鈴木秀美氏の下、音楽界での評価は高い。ところが本拠の神戸文化ホールでは定期演奏会の客席稼働率が約30%(約2000席中600席弱)にとどまる。一方、市から令和8年度に支給される補助金は約8500万円で、運営費の約7割を占めるという。

神戸市は令和10年度に新ホール開業を控えている。久元喜造市長は「オーケストラの在り方として適切なのか、芸術文化に対する財政支出の在り方として適切なのか、一旦立ち止まって考える」と述べている。

かつて大阪市長だった橋下徹氏は、「お上に支えられる文化というのは、歴史的にみても衰退している」と指摘した。

橋下市長時代の大阪市は文楽協会などへの補助金を見直し、平成27年度から民間募金を芸術団体に分配する制度を導入した。橋下氏は行政による補助金より、市民が自ら「芸術文化にお金を払うという選択」をすべきだと主張した。

日本オーケストラ連盟の令和6年度集計によれば、神戸市室内管弦楽団の事業活動収入に占める演奏収入は約2割、寄付など民間支援は1%未満。連盟加盟40団体平均では演奏収入5割強、民間支援1割強と大きな差がある。公演総数も17回と40団体中下から2番目に少ない。

運営母体である神戸市民文化振興財団の服部孝司理事長は、これまで「収益性より音楽性や公益性を重んじてきた」と語る。今後は「解体的出直し」を進め、マーケティング専門家の助言も仰ぐ考えだ。芸術団体であっても市場競争を避けて通れない現実がある。

英国の作家サマセット・モームは「芸術は皆が楽しめる作品である場合にのみ偉大であり意味を持つ」(『サミングアップ』)と述べた。この言葉に従えば、楽団の演奏はより多くの人に親しんでもらえるものに変える必要がある。

具体的には聴衆に受ける演目を増やし公演数を伸ばすことだが、それが楽団の独自性や魅力を損なう恐れもある。収益性の向上と両立する形で、運営方針と音楽的方向性の再構築が求められる。

他方、神戸市と市議会は「芸術文化に対する財政支出の在り方」について議論を始めている。芸術の価値は金銭に換算できないとの意見も理解できるが、議論を停滞させるわけにはいかない。

ここで参考になるのが経済学の「消費者余剰」の概念である。これは消費者が実際に支払う金額よりも、得られる満足感の価値が上回る場合に生じる。測定手法は確立されていないが、社会の豊かさを示す重要な指標とされる。

神戸市室内管弦楽団が市民にもたらす価値は補助金額を上回る「市民余剰」に相当するのか。その数値化は難題だが、これを明らかにできれば市、楽団、財団の進むべき道筋が浮かび上がるだろう。

編集部注:この記事はAIを使用して作成されており、産経新聞の記事を元に、内容を変更せずにリライトしたものです。
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