
市街地再開発の延期や中止が全国各地で相次いでいる。建材価格の高騰や深刻な人手不足により建設費が上昇し、多くの事業で採算が取れなくなっている。中東情勢の悪化で原油関連資材の調達も不安定化しており、下請け企業の倒産リスクが高まっている。こうした状況は、将来の街づくりに混乱をもたらすだけでなく、老朽化したインフラの更新を阻み、災害時の対応力低下にもつながる恐れがある。
帝国ホテルは14日、2031~36年度に予定していた「帝国ホテル東京」本館の建て替え時期を未定に変更する方針を発表した。建設費や労務費の高騰により、隣接するタワー館の解体工事が先送りとなり、本館の着工時期も見通せなくなった。同ホテルは国際会議や公式行事にも使用されており、建て替え計画の見直しは周辺街区の再開発全体にも影響を及ぼしている。
西武ホールディングスも、東京・品川駅前の再開発に伴う「グランドプリンスホテル新高輪」の建て替え時期を見直すことを決定した。建設費の高騰が主因で、当初予定していた2026年度中の営業終了を取りやめ、当面は営業を継続する方針だ。
こうした動きは決して一部にとどまらない。他の都市でも、多くの再開発プロジェクトが資材価格の変動や労働力不足に直面し、計画の修正を迫られている。事業主はコスト削減に奔走するが、下請け企業へのしわ寄せが強まり、倒産が増える懸念が産業界に広がっている。
専門家は「再開発の遅れは都市の防災機能や経済活力に長期的な影響を与える」と指摘する。老朽化した建物の更新や耐震化が進まなければ、大規模災害時のリスクが高まる。一方で、建設費の高止まりが続けば、都市計画そのものの見直しを迫られる可能性もあり、今後の動向が注目される。