
人からモノをもらったり、何かをしてもらったりした際、多くの人は「お返し」を考えるだろう。もらったままの状態は心苦しく、相手に負い目を感じてしまう。この感情は多くの人が共有するものだ。
筆者自身、小心者ゆえに速攻でお返しをし、相手との立場をフラットにしようとしてきた。相手が「割を食った」「損をした」と感じることを恐れたのだ。
仕事の場では「ギブ・アンド・テイク」が当然とされ、お返しのスピードやバランスを重視する文化があった。これが長年、筆者の行動基準となっていた。
しかし年齢を重ねるにつれ、お返しに疲れを感じるようになった。相手が不快にならないよう取り急ぎのお返しに腐心するうち、肝心なものを見失っている気がしてきたのだ。
それでも心情的にお返しは欠かせない。どうしたらいいのか。本稿では贈与とお返しの本質を、損得勘定や合理性を超えた視点から掘り下げる。