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ミズノは6月10日、主力ランニングシューズ「ウエーブライダー」シリーズの最新作「ウエーブライダー30」を発表した。6月16日から直営店と公式オンラインショップで販売を開始し、8月以降全国のスポーツ店などで展開する。1997年の発売以来30代目となる本作は、ソール(靴底)を従来より4ミリ厚くした“厚底化”が最大の特徴。かかとからつま先にかけて樹脂プレート「ミズノウエーブ」を内蔵し、スムーズな体重移動と高い安定性を実現した。価格は1万9800円(税込み)。発売から1年間で国内13万足の販売を目標に掲げる。
神奈川県鎌倉市で開かれた発表会では、初代ウエーブライダーを開発した太田友宏執行役員が登壇。約30年前の初代モデルは市場に受け入れられず、2代目で大きく改良したエピソードを披露。「その後も改良を重ね、現在に至る」と説明した。
太田執行役員は今回の「30」について、「ウエーブライダーの流れを汲みながら、大きく変える部分は変えた」と強調した。
近年のランニングシューズ市場では、衝撃吸収性と反発性に優れた厚底タイプが主流となっている。ウエーブライダーは「28」まで厚さを抑えた伝統的な形状を守ってきたが、昨年発売の「29」で厚みを増し、今回の「30」で典型的な厚底形状に大きく舵を切った。
厚底シューズはクッション性を高めやすく、硬質プレート内蔵や前方に転がりやすい形状によって推進力を得られる。しかし、足の左右のぶれや走行感覚の違和感といったリスクも伴う。「30」は厚底のメリットを生かしつつ、こうしたデメリットを抑えた点が特徴だ。
ミズノの開発担当者は「長い伝統の中で固定観念があったが、一回忘れて、設計をゼロベースで見直した。試作品を15種類くらい作り、取捨選択して絞りながら検証を進め、今できる最高の設計を徹底的に考えて出来たシューズ」と自信を見せた。
発表会後に行われた試走会では、市民ランナーでもある記者が実際にウエーブライダー30を履いて走り、その印象を報告した。
まず足を入れると、二層構造のメッシュ製アッパー(甲被)が足を優しく包み込み、しっかりと固定された。他のシューズでは軽量化や効率重視でアッパーの粗雑さが見られることもあるが、「30」はウエーブライダーならではの高いフィット感を継承している。
「30」は厚底シューズの特長である衝撃吸収性や弾力性、転がるような推進性能を備えているが、いずれも控えめだ。一方で厚底の弱点である不安定さや違和感もほとんど感じられなかった。歩いても走っても自然な感覚で履きこなせた。
特に、柔らかいソール素材の厚底シューズはかかと着地に合わない場合があるが、「30」はかかとでも前足部でも問題なく走行できた。下り坂や階段降下、急カーブなど厚底が苦手とする場面でも不安を感じずクリア。柔らかい素材と硬い素材を組み合わせ、間に樹脂プレートを挟んだ構造が安定性を高めている。
筆者がこれまで履いた厚底シューズの多くは癖が強く、ランナーがシューズに合わせる必要があった。しかし「30」は余計なことを考えずに済む。ランニング本来の「自分との対話」を心置きなく楽しめるシューズだと感じた。(上野嘉之)