
中古車販売店に勤める新人・槇島ユズ。彼女は名車を愛でるだけのつもりだったが、熱烈なオタクトークで図らずも成約を連発している。ユズは「売りたくない」と願うが、その悲鳴とは裏腹に、今日もまた一台、愛する名車が店を去っていく。この物語を、セダンを愛してやまない漫画家朝戸さんがお届けする。
ある日、インスタグラムでクルマ写真を投稿している女性客が来店。彼女は「ミニかビートルが欲しい」と希望を伝えた。ユズは一見すると可愛らしい小型車が似合いそうな客だが、心の奥で「待って、その選択はもったいない」と感じていた。
ユズはあえてオススメから外れたセダン、アルテッツァを提案。その瞬間、彼女の口から「デュアルバリアブルバルブタイミング…!!」という専門用語が飛び出す。女性客は驚きつつも、ユズの語るエンジン技術の魅力に引き込まれていく。
「6気筒エンジンの滑らかな吹け上がりが、このクルマの真骨頂なんです」とユズが熱弁。インスタ女子は最初こそ戸惑ったが、試乗後には「こんな走りがあるならアルテッツァしかない」と目を輝かせた。決め手は、見た目だけでない走りの本質だった。
こうしてまた一台が売れてしまい、ユズは複雑な表情。「また好きなクルマが減った…」とつぶやくが、客の笑顔に安堵もする。漫画家朝戸さんは「オタクの知識が奇跡のマッチングを生んだ瞬間だ」と締めくくった。