t>

シトロエン『e-C3』の“始動”は、電源ボタンではなく、ステアリングコラムのキーシリンダーにブレードを差し込み、キーを奥まで捻って行う。すると車載の12VバッテリーによりEVシステムが起動し“READY”に。BEVとしては実に古風であり、それがあえて新鮮だ。
e-C3はプレーンでシンプル指向。ステランティス・グループ内で最新ながらベーシックな位置づけのプラットフォームを基礎としているという。
同じ成り立ちで昨年10月に発表されたハイブリッド版C3とは車重が200kg異なる。車検証上ではe-C3 MAXが1470kg(前/後=820/650kg)、C3 MAXが1270kg(前後=830/440kg)だ。
そんなe-C3に試乗して実感したのは、“実用コンパクトなシトロエンらしさ”。実は先日ハイブリッドに試乗する機会があり、その個体の走行距離は約3100km。そのためか、乗り心地はシトロエンとしては引き締まった印象だった。
ところが今回のe-C3は、試乗車を借り受けて最初から(走行距離はハイブリッドより約1000km少なかった)好印象。低速からのホクッとした路面コンタクトの優しさ、しなやかなフラットライド、タイヤの接地感の高さ、安心感のあるステアリング操舵感が備わっていた。
乗り味には前述の車重差も良い方向に効いていそうだ。さらに1名乗車か前席2名+シュン(柴犬)かの違いでも、人(や犬)が同乗すると、明らかにしっとりとフラットで洗練された乗り味へ変化することがわかった。
その上で、e-C3はハイブリッドのようなエンジンまわりのメカノイズや振動と無縁な分、静粛性が高い。それがスムースな乗り味との“合作”で、よりシトロエンらしい世界観を演出している。15mm厚のウレタンを用いるというシートも、極上の後席はもちろん前席も心地よい着座感だ。
定格出力53.0kW、最高出力83kW、最大トルク125Nm、WLTCモードの一充電走行距離は388km。数日間の試乗では、BEVとしての実用性や使い勝手は、日常メインでたまに遠出する使い方ならストレスなく使えると感じた。
■5つ星評価 — パッケージング:★★★★★/インテリア/居住性:★★★★★/パワーソース:★★★★★/フットワーク:★★★★★/オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト。1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。