
ホンダが2026年3月期に四輪事業で巨額の営業赤字を計上し、上場来初の赤字に転落した。経営陣は三部敏宏社長の続投を決定。崖っぷちのホンダ再建に向け、脱エンジン路線の見直しを含む抜本的な戦略転換を迫られている。
今回の赤字の主因は、想定以上の円安進行と原材料高騰、そして世界的な電気自動車(EV)シフトの鈍化にある。ホンダはEV専用工場の計画を一時停止し、ハイブリッド車(HV)や内燃機関の延命を選択。三部社長が掲げた「2040年全EV販売」の目標は事実上撤回される見通しだ。
取締役会では三部社長の続投を巡り激しい議論が交わされた。一部の社外取締役から「責任を取るべきだ」との声が上がる一方、本田技術研究所の出身者らは「現状打破には現体制の継続が必要」と主張。最終的には、経営の継続性と再建策の着実な実行を優先する判断が下された。
三部社長は社内会議で「現状を直視し、過去の成功体験に固執せず変革を進める」と強調。具体的には、北米でのHV販売強化、中国市場でのEV販売網の再構築、そしてインドなど新興国向けの低価格車投入を柱とする。また、固定費削減のために国内工場の統廃合も検討している。
アナリストからは「赤字転落は想定内だが、脱エンジン路線の撤回は市場の信頼を損なう」との声が出ている。一方で、現実路線への回帰を評価する向きもある。ホンダ再建の成否は、三部社長のリーダーシップと、新たな成長戦略の実行スピードにかかっている。2026年度内の黒字復帰は容易ではないが、今後の動向が注目される。