
伊藤園は12日、主力商品「お~いお茶」を国産茶葉だけで生産する取り組みを推進すると発表した。18日出荷分から、パッケージに「純国産茶葉100%」と明記する。
近年、中国をはじめ海外産茶葉の輸入が拡大する中、同社の志田光正マーケティング本部長は「日本茶は日本人の誇りとなる存在。その一助となりたい」とアピールした。
同社のCMに出演する女優の有村架純さんも登壇し、日本茶の文化が「未来へと継承されていくことを望んでいます」と語った。
発表会で志田氏は、海外コーヒーチェーンによる抹茶商品の展開などを背景に、世界的な抹茶ブームが広がっていると説明。この20年間で日本茶の輸出量は約11倍に、抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)の生産量も約4.5倍に増加したという。
ただ、その間に国内のお茶生産量は約30%減少し、茶農家の戸数も約65%減少した。
日本の茶生産量が約7万トン、輸出量が約1.2万トンであるのに対し、中国は生産量が約300万トン、輸出量約30万トンと圧倒的な規模を持つ。今年は中国をはじめ海外産茶葉の輸入量が前年比2倍超のペースで推移しており、志田氏は「果たして日本の茶生産業は生き残れるのか」と問題提起した。
このため伊藤園は「新茶産地育成事業」として、現在契約している農家の栽培総面積(2648ヘクタール)を、5年後に2800ヘクタールまで増やすと発表した。持続的で活力ある産地づくりを後押しする。
また志田氏は、「『国産』と表示されるお茶の中には、茶エキス(エキス・粉末・抽出物など)を使用したものや、原産国表示が分かりにくいものも含まれる」と指摘する。過去には、中国で現地企業が製造・販売する茶に「宇治」を含む商標が付けられるケースが相次いで発覚した。
こうした状況を受け、国内で栽培・加工された茶を「日本茶」として明確に示すため、地域ブランドを国が保護する「地理的表示(GI)保護制度」に「日本茶」を追加する取り組みが進められている。
発表会では伊藤園の契約茶農家も登壇し、生産者の視点で課題を語った。堀口園(鹿児島県志布志市)の堀口将吾さんによると、これまでは生産者側が伊藤園の品質基準に合う茶葉を供給することで経営の安定につながっていたという。しかし近年はペットボトル飲料やティーバッグの販売が増え、抹茶需要や海外需要も拡大している。堀口さんは「生産の安定だけではなく、やはり消費者のニーズに合ったものを、畑や一次加工の段階から作っていくことが求められるようになってきた」と話した。
鹿児島堀口製茶(志布志市)の堀口大輔さんは、伊藤園の新茶産地育成事業を歓迎し、「お茶の価格高騰や将来への不安もある中で、未来へ向けた方向性が示された。生産者としてやるべきことをやっていきたい」と語った。イベントには同社のCMキャラクターを務める女優の有村架純さんとお笑い芸人のなかやまきんに君さんも登壇。「お~いお茶」を試飲した有村さんは、「おいしいです。いつもより『国産』を感じます」と笑顔を見せた。有村さんは「日本独自の文化がこれからも守られ、大切に次の未来へと継承されていくことを望んでいます」とコメントし、日本茶文化への思いを語った。(濵佳音)