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「新しく実行する住宅ローンは、半数が35年を超えている」。あるネット銀行の幹部はそう打ち明ける。住宅ローンの常識が、いま静かに変わり始めている。
「35年」という借入期間は長らく業界の標準とされてきた。だが現在は、40年や50年、銀行によっては最長55年という超長期ローンまで登場している。背景にあるのは、止まらない住宅価格の上昇だ。頭金をためるより、毎月の返済額を抑えてでも早く家を買いたいという需要が拡大している。
銀行の融資判断にも変化が表れている。従来は借入額が年収の何倍までかを見る「年収倍率」が重視されてきた。しかし最近では、年間返済額が年収に占める割合を示す「返済比率」を軸に審査する動きが広がる。期間を長くすれば毎月の返済負担は軽くなり、返済比率の基準を満たしやすくなるためだ。
借入期間の長期化は、毎月の返済負担を抑えられる一方で、総返済額が大きく膨らむ原因にもなる。金利が少しでも上がれば、長期のローンほど利息の増加幅は大きくなる。銀行の審査が通ったからといって、無理のない返済計画を立てられているかどうかは、別の問題だ。
住宅ローンの超長期化は、今後も進む可能性が高い。だが「返済比率」という尺度に頼りすぎると、長期間の収入変動や金利上昇のリスクを見落としかねない。銀行の提案にのむ前に、自分自身のライフプランを踏まえた借り入れが求められる。