
厚生労働省が3日に発表した令和7年の人口動態統計(概数)で、出生数と合計特殊出生率がともに10年連続で減少し、過去最低を更新した。政府は子育て支援など多角的な政策を進めてきたが、少子化に歯止めをかけられない深刻な状況が続いている。
今回の統計では合計特殊出生率は前年比0.01ポイント低下の1.14となり、3年連続で過去最低を記録。地域差はあるものの、女性人口の減少や晩婚化、経済的不安などが少子化の主な要因と分析されている。
岸田前政権が令和5年4月に発足させた「こども家庭庁」は、文科省や厚労省など各省に分散していた子ども関連行政を一元化し、少子化対策の司令塔として機能してきた。しかし、こうした組織改革や政策強化にもかかわらず、出生率の低下傾向は止まっていない。
統計の内訳では、母親の年齢が30~34歳の層で出生数が増加する動きが見られた。他の年齢層では全て減少しているが、減少幅が前年より縮小した層も多い。都道府県別の出生率では石川や高知など13県で上昇する結果が出ており、一部で改善の兆しも見られる。
こうした部分的な改善を全国的な流れに変えるには、政府がスピード感を持って政策を実行できるかが鍵となる。中東情勢の悪化などによる物価上昇は生活費を圧迫し、少子化を加速させるリスクもある。
高市早苗首相は昨年11月に自らがトップを務める人口戦略本部を設置し、社会保障政策のリーダーシップ強化を図っている。今年5月29日に成立した改正健康保険法では出産費用の無償化制度を盛り込み、令和10年6月ごろまでに開始する予定だ。少子化から反転するには、さらなる対策の拡充が不可欠となっている。