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日中全面戦争(日中戦争)の発端となった盧溝橋事件から89年となる7日、中国政府は各地で記念式典を開いた。国営中央テレビは「日本が再軍事化の道を猛進している」などと報じ、歴史問題に絡めて日本の「軍国主義」を批判する論調を強めた。
北京郊外の盧溝橋では、1937年7月7日に日中両軍が衝突。戦線は中国全土に拡大し、同年12月には日本軍が南京を占領、いわゆる南京事件が引き起こされた。中国政府は江蘇省にある「南京大虐殺記念館」でも式典を執り行い、この事件を外交カードの一つとして活用している。
「日本=加害国、中国=被害国」という図式のもと、自国の立場を国際社会に訴える中国政府。その主張の核心にあるのが「南京で30万人が虐殺された」という数字だ。この数字は中国の公式見解であり、教育やプロパガンダの現場で繰り返し強調されている。
では、日本の教科書はこの事件をどう扱っているのか。主に高校1年生が使用する歴史教科書を調べてみると、複数の出版社が中国の主張に沿った「30万人虐殺」という表現を掲載している。各社とも「南京事件」として字数を割き、記述の内容には政府の検定を通過したものの、その扱いには批判も少なくない。
南京事件をめぐっては、犠牲者の数や事件の性質について日中両国間で見解が大きく食い違っている。中国政府は「30万人虐殺」を公式見解とし、国内の愛国教育の柱に据える一方、日本の学界やメディアでは、数十人から数十万人まで諸説あるとされる。こうした認識の乖離は、両国の歴史認識問題として今なお尾を引いている。
日本の教科書が中国側の主張をそのまま掲載することには、歴史事実の検証をなおざりにしているとの指摘もある。一方で、国際的な批判を避けるため、一定の配慮が必要だとの見方も根強い。南京事件の記述は、単なる歴史的事実の伝達にとどまらず、両国の外交関係や自国のアイデンティティに直結する問題として、今後も議論を呼びそうだ。