
国道168号の和歌山県新宮市相賀(おうが)-高田をつなぐ2号トンネル(仮称)建設工事で、県は1日、掘削した残土から土壌汚染対策法の環境基準値を上回るヒ素やフッ素が検出されたと発表した。工事を継続すれば、残土処理費が約200億円と施工費(約70億円)の3倍近くになることが見込まれ、県は工事打ち切りを施工業者と協議している。残土処理のコスト削減の見通しが立てば、工事を再発注して再開する予定という。
県によると、県内でのトンネル工事の打ち切りは異例。2号トンネル(延長約2600メートル、幅8・5メートル)の建設は令和3年12月に着工し、工期は8年2月までの予定だった。事前のボーリング調査で、相賀側から26メートルの地点、高田側から33メートルと39メートルの地点でヒ素を確認していたが、残土を処理しながら工事を進めることになった。
昨年9月から高田側で行われた掘削工事では、残土から同年12月にフッ素を、今年9月にヒ素を確認。フッ素は環境基準値(1リットル中0・8ミリグラム)を上回る0・9~3・1ミリグラム、ヒ素も環境基準値(同0・001ミリグラム)を上回る0・002~0・05ミリグラムが検出された。いずれも自然の状態で土壌に存在しており、人体などへの影響はないという。残土は御坊市の民間の管理型処分場へ搬出し、処分していた。
しかし、全体の約1割を掘削した段階で、残土2万3千立方メートルの試験を230回実施したうち約95%の219回で環境基準値を上回り、残土の輸送、処理費が予想以上に拡大したため、今年10月に工事を停止。今後も同じ土壌が続くことが予想されることから、残土の処理費が約200億円に上ると予測。工事を請け負った共同企業体と工事を打ち切る方向で協議しているという。
県は今後、残土処分のコストの縮減を検討し、工事を再発注する方針だが、見通しはたっていない。県の担当者は「残土からヒ素やフッ素が出続けるとは考えてなかった。コストがかからない残土処理の方法を探し、工事を完成させたい」と話した。