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大相撲名古屋場所千秋楽が26日にIGアリーナで行われ、西関脇の安青錦が12勝3敗の成績で3場所ぶり3度目の優勝を飾った。
表彰式に臨んだ安青錦の髪の毛はほつれ、額には汗が光っていた。試合の進行が大幅に遅れたため、支度部屋で身だしなみを整える時間がなかったからだ。この異例の慌ただしさも、後になれば良い思い出となるだろう。
優勝決定戦は霧島、熱海富士との三つどもえとなった。安青錦はまず本割りで敗れていた熱海富士と対戦。本割りでは左まわしを取れずに引いてしまったが、「しっかり悔いがないように」と臨んだ決定戦では、思い切って踏み込み、左前まわしをつかんで先手を奪い、寄り切った。続く霧島戦でも左まわしを引き、頭を低くして左足を掛けて崩し、寄り切った。
左足首のけが、夏場所の全休、大関からの陥落――厳しい状況の中で迎えた名古屋場所だった。安青錦は「師匠に『(大関復帰の)10番じゃなく、優勝目指して頑張ろう』と言われていたので、すごくうれしい。我慢強く自分らしい相撲が取れた」と語った。自ら目標に掲げていた「優勝」を有言実行で達成した。
今年3月、安青錦の母国ウクライナのアマチュア相撲振興に貢献してきたウクライナ相撲連盟JAPAN事務所の三池哲也共同代表が死去した。5月に都内で開かれたお別れの会に安青錦は出席できなかった。左足首を痛めた直後で歩くこともできなかったからだ。最後に元気な三池氏と会ったのは昨年12月だったという。命ははかない。「明日、死ぬかもしれないというつもりで生きないと」。痛む左足を引きずりながら白星を重ねた今場所の姿には、そんな決死の覚悟がにじんでいた。
試練の15日間を乗り越えた22歳はこう語った。「これは、しないといけない経験だった。した方がさらに強くなれる」。大関返り咲きを懸けた来場所、「一番上の番付」を目指す挑戦が再びスタートする。(宝田将志)