
奈良市は23日、サイバー攻撃の疑いにより電子カルテシステムなどを停止していた市立奈良病院について、24日の午前8時30分から通常診療を再開すると明らかにした。同病院では一時的に診療制限を余儀なくされていたが、システムを段階的に復旧させる目途が立ったという。今回の事案は、医療機関を標的としたサイバー攻撃の脅威が改めて浮き彫りになった形だ。迅速な初動対応が功を奏し、最悪の事態は回避された模様である。
事案の発生は21日深夜、ネットワーク監視装置が異常な通信を検知したことが発端となった。病院側は直ちに、関係するサーバをネットワークから物理的に切り離すという、極めて迅速かつ果敢な調査・対応を実施した。この結果、電子カルテ、眼科、生理検査の3システムに限定的なダメージは確認されたものの、大規模な被害拡大を未然に防いだ。医療現場におけるセキュリティ対策の重要性が、実戦の場で証明されたといえる。
幸いにも、初動段階での検知と遮断に成功したため、現時点では個人情報の漏洩やデータの破損、ウイルス感染などの深刻な被害は確認されていない。システムは24日から段階的に復旧させ、外来や入院、さらには救急受け入れ(ER)を含むすべての診療体制を正常化させる方針だ。病院側は本格的なシステムの全面稼働に向けて、「総力を挙げて取り組む」との決意を示している。一刻も早い完全復旧が待たれる状況だ。
システムが停止していた期間中、病院スタッフは電子カルテの入力や閲覧ができないという困難な状況に直面した。現場では処方や処置をすべて手書き運用に切り替え、二重チェック体制を敷くことで医療安全を確保しながら対応を継続してきた。このようなアナログな手法を駆使した懸命な努力により、診療活動の完全な停止を免れた意義は大きい。デジタル化が進む現代医療において、緊急時の代替手段の有効性が示された。
通常診療の再開にあたり、病院側は患者に対して、受付や会計などで通常よりも待ち時間が発生する可能性があるとして理解と協力を求めている。また、正確な処方情報を把握するために「お薬手帳」の持参も強く依頼している。市民の健康を守る拠点病院としての機能を維持しつつ、今後はセキュリティ体制のさらなる強化が求められることになるだろう。地域医療の安定に向けた、同病院の粘り強い取り組みが続く。
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