t>

政府は28日、大規模災害への対策として、具体的な数値を用いた被災シミュレーションで各地域の負傷者救護と避難対策の2側面を分析する指針素案をまとめたことが明らかになった。自治体が被害想定に基づき現行計画の弱点を特定し、重点的に対策を強化できるよう支援する狙いで、11月に設立予定の防災庁の主要事業の一つに位置付けられる。
複数の政府関係者によると、近く開催される有識者検討会で指針案を議論し、自治体からの意見を踏まえて秋にも正式決定する見通しだ。政府はこの指針を通じて、全国的な防災力の底上げを図る。
素案では、都道府県が策定した被害想定を基に、各自治体の対応フローから必要な機能や物資の過不足を数値化する。不足分については、自助や共助も組み合わせた実効性の高い施策の立案を促し、都道府県は広域的な不足量分析や近隣自治体との補完調整を担う。
分析の対象は大規模災害直後の応急対応で、①負傷者を災害拠点病院などへ搬送できるか、②避難者が指定避難所などにたどり着けるか—の2点に絞る。必要量は各地域の実情に応じ過去の経験則を用い、供給可能量から不足量を算出する仕組みだ。
具体例として、ある自治体で負傷者1200人が発生した場合、重傷者640人、うち要緊急救助者58人と想定。過去の事例から渋滞を考慮した搬送時間が通常の5倍と仮定し、72時間以内の搬送に救急車8台が必要だが、保有数は1台で7台分が不足する。このため追加配備に加え、自家用車による搬送など共助の活用も課題となる。
避難対策では、ある自治体で地震・津波避難者が1万人の場合、津波から一時的に逃れる指定避難場所への避難者は計8100人。うち長期間の浸水が想定される避難場所へ100人、一時浸水が想定される避難場所へ132人が行くと仮定し、指定避難所へ移るためのヘリコプターや支援人員の不足量を算出。避難タワーや避難路の整備に加え、民間ビルの活用推進も検討される。
民間との連携が必要な事項を明確にし、広域的な応援計画の検討につなげる。政府は防災庁での取り組みを通じ、南海トラフ地震や首都直下地震などの国難級災害に向けた事前防災を徹底する方針だ。