
横浜市の市立中学校(義務教育学校後期課程を含む)給食をめぐり、デリバリー方式で提供された144校で昨年度、366件の異物混入などの報告があったことが11日、市教育委員会への取材で分かった。前年度より24件増え、自校方式で提供している小学校給食との比較で発生率が1桁多い状況が続く。同市では希望者だけだった給食喫食者が4月から生徒全員に拡大されたが、対象の拡大に不安を残す結果となった。
同市では昨年度、市立中学校143校と義務教育学校1校について、注文を受けた分を業者に発注する選択制のデリバリー方式で給食を提供した。
市教委学校給食・食育推進部によると、同年度中の提供数は792万6066件で、毛髪や虫などの混入が366件、報告された。
そのうち、金属片などの「重大な健康被害に至る可能性がある混入」は6件だった。混入率は0・0046176%だった。
前年度より0・0004202ポイント改善したが、発生件数は24件増えた。1校当たりの異物混入件数は年間約2・54件で、2・5件を超えた。
一方、自校方式で提供された義務教育学校2校については、異物混入の報告は令和6年度に引き続き、なかった。小学校給食実施348校での異物混入件数は94件で、混入率は0・0002712%だった。
また、今年度予算ベースでのデリバリー給食1食当たりの実費は972円であることも市教委への取材で分かった。内訳は材料費(牛乳代を含む)440円のほか、調理費382円▽配送費86円▽配膳費49円▽その他(衛生管理委託費など)15円となっている。材料費のうち330円を保護者が支払い、残りの642円は公費で負担している。
自校方式で提供している義務教育学校3校分の実費については算出不能という。
同部では「異物混入が続いていることは認識している。しっかり改善に努めていきたい」としている。
業者が工場で製造した給食を学校に運搬するデリバリー方式で給食が提供されている横浜市の中学校給食で、昨年度の異物混入件数は366件だった。昨年度までは希望者だけがデリバリー給食を注文していたが、4月から選択肢はなくなり、市教育委員会学校給食・食育推進部によると、デリバリー給食の提供数は最大約4万8千食から約8万1千食に増えた。
金沢区に大規模な給食工場ができ、昨年度よりも1増の6工場で対応するが、工場から中学までの距離は1・5キロ~70キロ。配送だけでおよそ15分~2時間半を要するという。
懸案である異物混入の発生件数について、増加すると予想する市議もいる。すでに毛髪やビニール片などの混入が確認されており、ある中学校長は「市教委と業者で対策を徹底していただくしか手の打ちどころがない」と指摘する。
ご飯は生徒が大中小から選べるはずが、4月には準備が整わず、一律で中となった。5月からは選べるようになるはずが、いまだ改善されず、混乱は続く。
気になる点はほかにもある。横浜市立中学校給食衛生管理基準と、国の各基準と隔たりがあることだ。例えば調理から給食までの時間。文部科学省の学校給食衛生管理基準では「調理後2時間以内に給食できるよう努めること」としている。同部はこの基準を「自校方式とセンター方式を想定したもので、デリバリー方式を想定していない」と解釈。独自の検証結果などをもとに、おかずは盛り付け終了後、汁物は最終加熱後、「原則4時間以内」に喫食できるようにすることと定めている。
また、厚生労働省の大量調理施設衛生管理マニュアルでは「調理後直ちに提供される食品以外の食品は、食中毒菌の増殖を抑制するために、10度以下又は65度以上で保管することが必要」と明記している。これに対し、横浜市はコンテナに入れて汁物は60度以上、おかずは19度以下で配送することなどとする。神奈川県の他の政令市では、デリバリー方式とセンター方式を併用している相模原市も、デリバリー方式ではおかずの保管温度を20度以下にし、大量調理施設衛生管理マニュアルよりも緩やかな基準にしている。
相模原市は12月以降、デリバリー方式をセンター方式に切り替えるが、横浜市は義務教育学校を除いた市立中学143校でデリバリー方式を続ける方針だ。同部では「これまでこの基準で適正に運用ができている。われわれはこの基準でやっていこうと考えている」としている。(橋本謙太郎)