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陽光を浴びてコバルトブルーに輝く大海原。白い干潟の彼方には水平線がどこまでも広がる。水面すれすれに真っすぐ延びる赤茶けた鉄橋を、スカイブルーのディーゼルカーがゆっくりと進む。まるで水平線に並行するかのような不思議な光景に、思わず見入ってしまう。
京都府北部の丹後地域と兵庫県北東部の但馬地域を走る第三セクター、「北近畿タンゴ鉄道」(本社・京都市)。その2路線のうち、京都府舞鶴市から宮津市を経て兵庫県豊岡市を結ぶ宮津線の丹後神崎―丹後由良駅間を流れる由良川を渡るのが、「由良川橋梁」(全長約550メートル)だ。
丹波山地を源に福知山盆地を流れ、若狭湾へ注ぐ由良川。その河口に架かる橋の背景は、見渡す限りの大海原。走る車窓から大海原を望むと、乗客はそのまま水平線の果てまで行けるかのような錯覚に陥る。それが、この橋の最大の魅力となっている。
同橋梁は、旧国鉄時代の大正13(1924)年に完成。鋼板をボルトや鋲、溶接などで組み立てた「プレートガーダー」と呼ばれる一般的な構造ながら、過去に大規模な補修や改修は行われたことはなく、80年間も〝現役〟を続ける頑丈さを持つ。
しかし、海面からの高さはわずか約3メートル。高波に洗われそうな橋ながら防風壁もないため、強風が吹くと不安はある。「橋の両端に風速計を設置。風速20メートルを超えると、宮津市の運転指令所に連絡が入り、即刻運行を停止します」と、同鉄道事業本部総務係長、朝子俊朗さん(55)は説明する。
「全席が海を望めるオーシャンビューで、車窓からの眺めは最高。ぜひ遠方からも足を伸ばして、乗ってもらいたいですね」と呼びかける朝子さん。観光用の特別列車も運行しており、中でも先頭車両の運転席脇の特等席は大人気だという。
一方、宮津市郊外の高台から橋を渡る列車の撮影に訪れたという舞鶴市の写真愛好家、田中幸男さん(60)は「水平線の下を走る列車の姿は、すばらしい。これから夏に向かって空も海も青さを増します」と語る。夏には、若狭湾に繰り出すカラフルなセールボードも彩りを添える。
昼下がりに実際に乗車してみると、車窓からは絶え間なく木々の緑と海の青が飛び込んできた。一緒に乗り合わせた乗客は、学生や年配者ばかり。かつて何度も廃線の危機にさらされたが、その度に地元民の熱い要望で存続してきたという。
雄大な景観の中を走り、多くの観光客らを魅了するとともに、〝地元民の足〟として地道に走り続ける北近畿タンゴ鉄道。橋脚を水中にどっしりと下ろす橋梁の姿は、地元にとって頼れる存在であることを象徴しているように思えた。