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死亡記録配達人を自称する元読売新聞記者の井手裕彦さん(71)は、モンゴル抑留者の死亡記録を発掘し遺族に届ける活動を続けている。6月に出版した「モンゴル抑留」(角川新書)では、ソ連によるシベリア抑留の陰で知られていないモンゴル抑留の実態と、戦後処理の「妥協の産物」によって置き去りにされた経緯を明らかにした。
満州からモンゴルに強制連行された日本人は約1万4000人。うち約1700人が移送中や抑留中に命を落とした。
「異国の地で肉親が亡くなったとしたら遺族は命日を知りたいと思いますよ。埋葬地はどこか、そして、遺体はどうなっているのか。死亡の経緯と死因も知りたいと思うんですよ」と井手さんは語る。
井手さんは読売新聞の記者としてシベリア抑留を取材する過程でモンゴル抑留を知った。2020年1月にモンゴル国立中央公文書館で日本政府が持っていなかった抑留者379人の死亡記録を含む1100ページの文書を発見。約20万円の手数料を自腹で支払って入手し、厚生労働省にも提供した。
井手さんの活動は、戦後処理の闇に埋もれた抑留者とその遺族に光を当てるものだ。モンゴル抑留の全容解明は道半ばであり、今後も記録の収集と遺族への情報提供が続けられる。