
茨城県神栖市長選をめぐり、同数の得票によるくじ引きで当選した木内敏之氏(65)に対し、茨城県選挙管理委員会は28日、当選無効とする裁決を下した。落選した現職の石田進氏(67)側が提起した不服審査申し立てを認めた形だ。焦点は、無効と判断された票の扱いにあった。
昨年11月の市長選では、石田氏と木内氏の得票がともに1万6724票で同数となり、公職選挙法の規定に基づき市選管がくじ引きを実施。木内氏の当選が決まり、現在も市長職に就いている。しかし石田氏側は木内氏の有効得票に無効票が含まれているとして、市選管に異議を申し立てていた。
再点検でも結果は変わらず、石田氏側は県選管に当選無効を求める審査を申し立てた。県選管が票を再々点検した結果、木内氏の実家が代々菓子製造を営んでいることにちなみ、「まんじゅうや」「だんごさん」などと記載された票が問題となった。県選管はこれらの票について「木内氏の通称として広く使用されていると認めるに足りる証拠はない」として無効と判断した。
裁決により、市選管の「木内氏当選」決定は取り消された。裁決内容は5月11日付で県報に告示される予定だ。裁決に不服がある場合、告示から30日以内に東京高裁に訴訟を提起できるが、裁決か判決が確定するまでは木内氏が市長職にとどまる。
木内氏は記者会見で「神栖市では私はまんじゅう屋で通っている。このような判断はとうてい納得できない」と述べ、強い不服を示した。一方、石田氏側の主張が認められた形で、今後の法的手続きの行方が注目される。
今回の裁決は、選挙における票の有効性の判断基準や、同数によるくじ引き制度のあり方に一石を投じるものとなった。有権者の投票行動と公職選挙法の解釈が問われるケースとして、関係者の関心を集めている。
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