
オーストラリア政府は28日、検索エンジンやSNSを運営するIT大手に対し、国内報道機関との契約締結を促す「ニュース交渉インセンティブ」法の素案を公表した。豪メディアと契約を結ばず交渉もしない場合、売上高の約2.25%に相当する負担金を課し、報道機関に分配する仕組みを検討している。この法案は、巨大テクノロジー企業によるジャーナリズムの収益圧迫に対抗する試みだ。
素案によると、対象は豪州での売上高が2億5千万豪ドル(約286億円)以上あり、月の利用者がSNSで500万人以上、検索エンジンで1千万人以上ある企業だ。豪メディア企業と契約を交わせば負担金は相殺される。これにより、対象企業には報道機関との協力を促すインセンティブが働く。
アルバニージー首相は28日の記者会見で、米メタやグーグル、ティックトックと協議中とした上で、「ジャーナリズムへの投資は民主主義に不可欠であり、報道には対価が支払われるべきだ。巨大な多国籍企業が自社の利益のために利用すべきではない」と述べた。この発言は、情報環境の変化の中で民主主義を守る姿勢を示している。
オーストラリアは16歳未満のSNS規制でも先鞭をつけたが、今度は報道分野である。情報環境の変化に伴う政治・民主主義への悪影響が指摘される中で、ジャーナリズムと報道機関が果たすべき前向きな役割は多い。新法の実効性がどこまで持つか、また追随する国が出るかが注目される。
日本でもAI企業への提訴や公正取引委員会による実態調査が進むなど、報道コンテンツの「ただ乗り」問題への関心が高まっている。EUもグーグルのAIモードを調査しており、世界的に情報の対価を巡る議論が活発化している。オーストラリアの動きは、その流れを加速させる可能性がある。
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