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賃上げ率が5%を超える水準で推移しているにもかかわらず、多くの働く人々から「賃上げ実感が薄い」という声が聞かれる。この乖離はなぜ生まれるのか。実質賃金の回復ペース、統計が示す数値の落とし穴、そして賃上げの恩恵が一部に偏る構造を、データに基づき整理する。
まず注目すべきは実質賃金の動向だ。名目賃金は上昇しているが、消費者物価指数の上昇率を差し引いた実質ベースでは、2024年に入ってもマイナスが続いた。ようやくプラスに転じたとはいえ、物価高の影響で生活実感としては改善を感じにくい。
また、賃金統計の平均値は高所得者の影響を強く受ける。中央値や分布を見ると、多くの労働者の賃金上昇は平均ほど大きくない。特に中小企業や非正規雇用では、ベースアップが十分に浸透していない実態が浮かび上がる。
業種や企業規模による格差も無視できない。大企業や好調なIT・金融業界では大幅な賃上げが実現している一方、小売・飲食や製造業の下請けでは賃上げ率が低く、恩恵が偏っている。これが「上がっている人と上がっていない人の二極化」を生んでいる。
結局のところ、賃上げ実感の薄さは単なる格差拡大だけでは説明しきれない複合的な現象だ。実質賃金の回復遅れ、統計の読み方、構造的な格差が絡み合っている。読者の皆さんは自身の賃金実感と、このデータの示す現実にどれだけ合致するだろうか。