
北海道から九州まで、ほぼ全国で活躍した国鉄特急型電車の代表格といえるのが485系です。懐かしいボンネット型の先頭車両や全盛期の長大編成など、鉄道写真家・南正時氏が長年にわたって撮り続けた各地の485系の勇姿は、本記事の画像ギャラリーからご覧いただけます。同氏は「485系は日本の鉄道史に残る傑作であり、そのデザインと性能は今も多くのファンを魅了している」と語っています。
485系は1964年に登場した国鉄初の直流・交流両用特急電車で、異なる電化方式の路線を直通運転できる画期的な車両でした。当初は「エル特急」(L特急)として首都圏や近畿圏の主要都市間を結び、後に全国へネットワークを拡大。北海道の直流区間から九州の交流区間まで、日本各地の気候や路線条件に対応するため、細かな改良が加えられました。
全盛期の1970~80年代には、485系は「ひばり」「はつかり」「白鳥」「雷鳥」「にちりん」など、全国各地の看板特急で活躍。18両編成の長大な姿は日本の鉄道風景の象徴でした。国鉄分割民営化後もJR各社に引き継がれ、JR東日本では「北陸」「あさま」「はくたか」「スーパービュー踊り子」などに使用され、長年にわたって第一線を担いました。
1990年代以降は車両の老朽化と新型車両の導入により、次第に活躍の場を失っていきます。JR九州では2011年に定期運用を終了、JR西日本でも2013年に引退。JR東日本に残った車両も2017年までに全廃され、485系は定期特急から姿を消しました。しかし、一部はジョイフルトレインやイベント用に改造されて生き残り、各地でファンを楽しませています。
現在、485系はJR東日本の「華」や「たざわ」、JR西日本の「WEST EXPRESS 銀河」といった観光列車に生まれ変わったほか、民間鉄道や保存鉄道でも動態保存されています。南正時氏は「485系の車両は単なる移動手段ではなく、昭和から平成にかけての日本の鉄道文化を体現している。その姿を後世に伝えることが大切だ」と強調。鉄道ファンの記憶に残る名車両は、今も静かに語り継がれています。