
26日投開票の宮城県気仙沼市長選で、現職の菅原茂氏が5選を果たした。しかし、当選が決まっても菅原陣営からは歓声が上がらず、重苦しい空気が漂った。当初は無投票の公算が大きいと見られていたが、告示直前に出馬を決めた79歳の新人候補が5千票超を獲得したことが衝撃を与えた。
菅原陣営の議員からは「こんなに取られるとは正直思っていなかった」との声が漏れた。一騎打ちの相手となった新顔の岩村彬氏(79)は元ノリ卸業で、一般的な市長選候補者とはかけ離れた存在だった。だが、その得票数は陣営の予想を大きく上回った。
気仙沼市選挙管理委員会が発表した午後9時現在の得票が菅原陣営に伝わると、大差で当選確実となった。それでも陣営はどこか神妙な雰囲気に包まれ、勝利の喜びよりも衝撃が先行した。現職の強みが生かせなかった選挙戦の厳しさがにじんでいた。
岩村氏は無名の存在でありながら、告示直後の短期間で効果的な選挙運動を展開したとみられる。市民の間には「多選自粛」への関心の高まりや、現市政への批判票が背景にあった可能性がある。菅原氏は5選を果たしたものの、票差の縮小から今後への影響も懸念される。
選挙戦を取材した記者は、陣営の重苦しさについて「勝った喜びより、想定外の苦戦への警戒感が強かった」と指摘する。この結果は、地方政治における有権者の意識変化の一端を示すものとして注目を集めている。