
「ブランド」と称されるモノやサービスがある。共通しているのは、いつ買っても、利用しても、期待を裏切らない品質の再現性を持ち、明確な世界観や思想があり、さらに時代をさかのぼってのストーリーがあることだ。それを維持していくために、絶対に品質基準を下げないという徹底ぶりも欠かせない要素だ。
茨城県の筑西市や桜川市の特産品として知られる「こだますいか」を生産する「JA北つくばこだま西瓜部会」は、こういったブランドへのこだわりを徹底してきた。スイカを単に小さくした「小玉」ではなく、ひらがなで「こだま」と表記しているのも、両者が別物であることのアピールだ。ブランドを作った際に「新幹線こだま」から名づけたという。
立夏の日を「こだますいかの日」として登録し、季節の味を大切にするという日本食文化の価値もPRしている。その結果、一年中流通しているメロンに対して、季節感を先取りした手土産として高級感を保つことができている。
昭和30年代に誕生したこだますいかは、品種改良と市場開拓を経て普及し、冷蔵庫に収まるサイズで人気を博してきた。
大玉より糖度が高く、12月にビニールハウス内に定植した後、保温用のビニールシートを多いときで4枚、気温が上がると1枚用い、外気温や生育状況に合わせて開閉しながら育てていく。日々目が離せない上、成長に合わせた整枝作業も熟練を要する。
曇天が続くと開花しても着花せず、実がならない。そんなデリケートなスイカを、生産者たちはわが子のように育て上げてきた。
その結果、令和元年に第48回日本農業大賞特別賞を受賞した。11億円以上を売り上げている部会は、間違いなく日本一の産地だと断言する。自らが課した検査基準は他の産地を寄せ付けないほどに厳しい。関係者は、他産地の最上級「秀」とJA北つくばの「優」が同等レベルだと自負している。
昭和32年、JA北つくばで試作を行ったことからここが産地になった。冬場に晴天と日照が多く降雪も少ないという立地条件も適していた。
種苗会社も品種改良に力を注いだことで、主力品種も黄色から「紅こだま」がメインとなった。平成14年ごろから濃厚な甘みと香り豊かな「サマーキッズ」に変わり、平成24年に登場した「スィートキッズ」は、生産者を悩ませていた5月中旬頃からの2番果実のばらつきを解消し、輸送の安定にも寄与してきた。
そして、今年からタネが小さく玉の大きな「あまRich」が登場した。ネーミングは一般公募で決め、事前PRも抜かりない。JA北つくばでしか手に入らないブランド品種を、ぜひ食べてみてほしい。(JA茨城県中央会農業政策アドバイザー 萩谷茂)