
今年9月、産経新聞社会面に掲載された記事で、大坂なおみ選手を破った中野佑美選手の所属先として「グリーンホテル・ズコーポレーション」という社名が登場した。校閲記者はその「・」の位置に違和感を覚え、誤植ではないかと疑った。
14歳当時の大坂選手の様子を伝える記事自体は興味深かったが、校閲記者の注目はすぐに社名に移った。「・」の位置が誤っているに違いないと色めき立った。
しかし、インターネットで調べてみると、その通りの名称であることがすぐに判明した。記事に誤りがなかったのは大変喜ばしいことだが、まるで肩すかしをくらったような気持ちになった。
企業名が正しいことが分かった時点で校閲記者のミッションは完了となるが、やはり由来が気になる。今回はこのコラムを書くことを理由に連絡を取った。
グリーンホテル・ズ コーポレーションは福岡県に本社を置き、主にグリーンリッチホテルという名称で、建設中のものも含めて全国31店舗のホテルを展開する企業だ。取材に応じたのは企画部課長の田中聖士(せいじ)さんである。
記者が「「・」の位置が不自然に思えるのですが、名前の由来を教えてください」と尋ねると、田中さんは「昭和29年、福岡県久留米市で10部屋のホテルからスタートし、平成元年ごろ、県外へ『グリーンホテル』として店舗展開していた時期にこの社名がつけられました」と答えた。
さらに田中さんは「創業者である先代の故岡村清隆会長が『店舗を増やしていきたい』という思いから、複数形の『グリーンホテル・ズ コーポレーション』としました。『ズ』の前に『・』を入れて複数形を強調したかったのではないかと推測しています」と説明した。
記者が「「・」の位置に深い意味が込められていたとは! それに記事では省略されてましたが、『ズ』と『コ』の間が1字あいていたのですね。これでだいぶ読みやすくなりました」と述べると、田中さんは「実は現岡村徳之会長が表現を疑問に思い、変更を検討したことがあります。念のため、画数を調査したところ大吉となっており、『・』を外すと凶画となることが分かりました」と明かした。
記者が「でも『・』の位置をずらすだけなら画数は変わらないのでは?」と問うと、田中さんは「『グリーンホテルズ・コーポレーション』と改めようとも検討しましたが、当時、会社は安定した運営を続けていた時期でもありました。このままの運気が続くようにとの思いから当初の名称を残すことにしました」と答えた。
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