
国内有数の観光地を抱える神奈川県の藤沢、箱根、鎌倉、小田原の4市町が令和7年1~12月の観光客数を発表した。いずれも前年を上回り、藤沢市と小田原市では過去最多を更新した。11月に中国政府が日本への渡航自粛を呼びかけ、観光への影響が懸念されていたが、箱根町が「大きな影響は見受けられなかった」とするなど、影響は限定的だったとみられる。
名勝・江の島のある藤沢市の令和7年の観光客数は2149万人で、過去最多だった前年の2040万人に比べて5%増加した。要因として、例年観光客の多い4~9月の天候が良好だったことや海水浴客の増加に加え、国全体の訪日外国人観光客数が増加傾向(日本政府観光局調べで前年比15.8%増)となった影響を挙げている。
海水浴客の多い7~9月は、前年に比べ16%増加した。一方、10~12月はイルミネーションを目当てに訪れる観光客の多いクリスマス前後が天候不良だったため、前年比で7%の減少となった。11月には、高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁に反発した中国政府が日本への渡航自粛を呼びかけたが、同市では中国からの団体客が減ったものの、個人客は変わらなかったという。
温泉リゾートとして名高い箱根町は、2112万人で前年の2031万人に比べ4%増。「新型コロナウイルス禍前の平成30年(2126万人)に近い数字」(町観光課)まで戻った。日本人はほぼ横ばいだったが、訪日外国人の需要が好調だった。
同町が行楽のトップシーズンとする11月は、欧米とオーストラリアを中心に紅葉シーズンの高い訪日需要が続いた。中国による渡航自粛要請については、「大きな影響は見受けられなかった」としている。もともと同町を訪れる外国人に占める中国人の割合が1割程度にとどまっている上、個人客が中心のためという。
鎌倉市は1620万人で、前年の1594万人に比べ1.6%の微増。鶴岡八幡宮など多くの寺社が点在し、寺社やハイキングコース、海水浴場への訪問者が前年より増えた。市観光協会によると、JR鎌倉駅東口の観光案内所窓口を利用した外国人は11、12の両月とも前年同月比で13%減少した。国別では、中国が前年同月比で大幅に減少した一方、欧州が同水準を維持した。12月には、マレーシアが大幅に増加した。
小田原市は、4年連続で過去最多を更新した。令和7年は897万人で、コロナ前の600万人台を大きく上回った。小田原城址公園で10月に開催された恒例の「おでん祭り」などのイベント来場者数が好調だった。箱根の玄関口ともなっており、同市観光課では「訪日外国人観光客数の増加も底上げにつながった」との見方を示している。