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停戦は成ったが、終わってはいない。6月17日に米国とイランが署名した停戦に向けた覚書は、14項目からなる草案を土台に、ホルムズ海峡の商船通航を60日間無償とした。だが、通航料や海峡管理の権限など解釈の差異を残し、停戦の実効性にも危うさがある。停戦の枠組みは恒久的な解決ではなく、あくまで応急措置に過ぎない。
この覚書は戦争を畳む文書であると同時に「次の危機」の管理能力を各国に試している。危機は去ったのではなく、時限を切って繰り延べられたのだ。各国はこの猶予期間をどう活用するかが問われている。
その渦中、日銀は16日に政策金利を1・0%へ引き上げた。中東情勢も理由とされた。原油高を起点に価格転嫁が進み、物価は目標を超えて上振れる懸念がある。利上げは市場が織り込んでいたこともあり、円安傾向は止まりにくい。
輸入依存という構造要因の大きさを再認識させられた。エネルギーや食料の多くを海外に頼る日本経済は、価格転嫁が進んでも需要が減退せず、コスト上昇が経済全体に波及している。中東の不透明感が長引けば、物価安定目標の達成はさらに困難になる。
為替要因は金利差から中東危機にも広がる。利上げ後も円安が続く背景には、米国の高金利維持やイラン情勢によるリスク回避の動きがある。停戦の一時的な安定が為替や金融市場にどう影響するかは、不確実性が高い。危機管理能力が真価を問われている。